ボーン・レガシー

ボーン・レガシー “The Bourne Legacy”

監督:トニー・ギルロイ

出演:ジェレミー・レナー、エドワード・ノートン、レイチェル・ワイズ、
   ジョアン・アレン、アルバート・フィニー、デヴィッド・ストラザーン、
   スコット・グレン、ステイシー・キーチ、オスカー・アイザック

評価:★★




 スピンオフ…と言うのは正しくないのか。「ジェイソン・ボーン」三部作ではマット・デイモン扮する記憶をなくしたスパイとCIAの戦いが描かれた。『ボーン・レガシー』ではそれと同時進行で起こっていた、もうひとりの最強スパイ、アーロン・クロスの戦いが繰り広げられる。同じ世界観の中、別の主人公を立ててシリーズを仕切り直す。そんなことをするぐらいなら「ジェイソン・ボーン」シリーズを完結させなければ良かったのに。でもまあ、そこはハリウッド、まあ寛容な気分で受け止める。

 ボーンとクロスの最大の違いは、クロスが薬によってその力を最大限に発揮するところにある。ブルーとグリーン、ふたつの薬を飲み続けることでその能力が活かされる。薬を切らしたクロスが、新しい薬の入手を目的とするの旅の中、襲い来る敵に立ち向かうという物語。首を傾げるのは薬を切らすとどうなるのか、タイムリミット的面白さが完全に無視されていること。逃走劇が生み出すサスペンスしか見当たらない。ただ、この映画にはそれ以上の欠点がふたつ存在する。

 ひとつは監督が二作目・三作目を手掛けたポール・グリーングラスからトニー・ギルロイへと変更になったことだ。ギルロイは三部作全ての脚本を手掛けている人だから、シリーズについて詳しいことは間違いない。ただ、グリーングラスのような細かいカットを畳み掛けていく編集術は持ち合わせていなかった。ドキュメンタリー的迫力とも無縁。シリーズを倣って気分を出そうとしていることは分かる。ただ、どうしても間延びする。超高速を維持して前のめりで突っ切っていくこの世界観の中では、非常にどん臭い。おかげで場所や時間の処理が粗い。

 しかもギルロイは、「ジェイソン・ボーン」の存在を必要以上に意識するという愚を犯す。クロスの物語の合間合間にボーン絡みのエピソードを挿入して、クロスとボーンが同じときに活動していたスパイであることを執拗に強調する。シリーズのファンへの目配せと呼ぶにはくどい。これはおそらく、将来作られるだろうと噂される、ボーンとクロスの共演映画を念頭に置いてのことだ。全く持って、余計な計らい。鬱陶しいったらない。こんなことならボーンとは全く無関係のスパイの物語として提示する方が良い。

 クロスを演じるジェレミー・レナーは、ボーン役で大人の俳優へと脱皮したマット・デイモンよりも、柄に合っている。レナーがデイモンよりも優れているところ、それは身体能力だ。身体の内も外もスピード感が抜群なのだ。もちろん肉体的に早い。走る。飛ぶ。撃つ。操縦する。基本動作が素早くて、リズム感のない編集がバランスを崩しているところがある。が、それ以上に、身体の中で動く何かのスピードが早いのに注目すべきだ。自分が置かれている状況を瞬時に判断する能力、これもまた運動力と呼ぶべきだろう。レナーはそれを全開にさせる術を知っている。

 ヒロインのレイチェル・ワイズはレナーの速度についていけない。完全に重荷と化している。レナーを追うエドワード・ノートンは序盤こそ前面に出ていたけれど、後半はほとんど退場状態。司令室から指示を出すばかりで、ストレスが溜まる。せめてクライマックスぐらいレナーと激突させるべきだった。





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