ハンガー・ゲーム

ハンガー・ゲーム “The Hunger Games”

監督:ゲイリー・ロス

出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、
   リアム・ヘムズワース、ウッディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、
   レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド、
   ウェス・ベントレー、トビー・ジョーンズ、アレクサンダー・ルドウィグ、
   イザベル・ファーマン、アマンドラ・ステンバーグ、ウィロウ・シールズ

評価:★★★




 少年少女たちが命を賭けて殺し合う…という設定は、どうしても日本映画「バトル・ロワイアル」(00年)を思い出すものの、『ハンガー・ゲーム』にはそれとは違った仕掛けが、二重三重に張り巡らされている。生と死のサヴァイヴァル・アクションとしての側面はもちろんある。ただし、映画の奥行きを深くしているのは、メディアとそれに簡単に踊らされる大衆批判の方にある。

 舞台はアメリカの未来の姿である独裁国家パネム。ハンガー・ゲームとは、そこで毎年開かれるイヴェントのこと。貧困層が住む12の地区から選ばれた男女24人が、山の中で殺し合いゲームをさせられる。富裕層はテレビ中継されるそれをエンターテイメントとして楽しむ。リアリティショウが幅を利かせる昨今、浅はかな大衆心理を執拗に炙り出す。

 この世界観の創り込みが念入りだ。配給を受ければ受けるほどプレイヤーに選ばれる確率が上がる仕組み。プレイヤーをスターに仕立て上げる過程。サヴァイヴァル技術を叩き込まれるトレーニング。一人しか生き残れないルール。ゲームを開催する意図。中でもプレイヤーの装飾が凝っている。

 地区ごとにチームが組まれる。そこにはPR担当がいる。アドヴァイザーがいる。メイキャップアーティストがいる。貧しい環境から突然欲望の世界へ。彼らはプレイヤーと言うよりスター、そしてスターと言うより人形だ。富裕層の人々は疑うことなく人形に肩入れする。そして手軽に感動する。かと思えば、賭けに興じて他人事と決め込む。金持ちのメイクや衣装が原色に溢れ、奇怪さに満ちているのが可笑しい。こうした見世物的世界が、実にバカバカしい。しかし、バカも極めれば味になる。確かに奇妙に吸引力を発している。何しろ観客は、プレイヤーが大観衆の中をパレードしたり、スポンサー獲得のため必死に演技したりする姿まで見せられるのだ。

 ゲームのヒロインをジェニファー・ローレンスに演じさせたのが正解だ。アンパンガールと名づけたくなる頬の持ち主ながら、眼差しに知性が輝いている。システムを逆利用するしたたかさを魅力に変える術も持つ。それに弓を構える様がとてもキマッている。ピンと伸びた背中。細くて、でも力強い腕。矢よりも鋭い目。ハイテクとアナログが強烈な対比を見せる中、弓と矢を背負って山中を走るショットがカッコイイ。切り返しの早いカット、ドキュメンタリーを思わせる撮影も味方につける。

 重要なのは、こうしたカッコ良さもまた、富裕層の手の平の上で繰り広げられているという点だ。この構造が頑丈ゆえに観客は次第に、富裕層に近いところへと視線を移動させられる。ローレンスに声援を贈りながら、落ち着かない気分にもなるのはそのせいだ。

 ローレンスは金持ちが貧乏人で遊ぶための箱の中に放り投げられる。それをいかに突き破るのかが、最後の見所だ。この部分は甘ったるい。生き残るために人を殺めなければならないというローレンスの葛藤が見られないのと同じくらいに甘ったるい。見世物箱を燃やしてしまうほどの大技が欲しい。それから男の子たちはもう少し上玉を調達せよ。ローレンスと釣り合いが取れなくて困るじゃないか。こういうときこそ不正が行われるべきだ。





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