アウェイクニング

アウェイクニング “The Awakening”

監督:ニック・マーフィ

出演:レベッカ・ホール、ドミニク・ウエスト、イメルダ・スタウントン、
   ルーシー・コウ、ダイアナ・ケント、リチャード・ダーデン、
   ジョン・シュラプネル、アルフィー・フィールド

評価:★★★




 作中最も怖いのが黒柳徹子ヘアのイメルダ・スタウントンであるというオチはさておき、『アウェイクニング』を最近流行りの「結末を喋ってはいけないホラー」と一緒に並べるのは納得できない。確かに物語の核心に触れる仕掛けはこのところごろごろ見かけるものだけれど、それに囚われることのないコクが、ここにはある。大体「仕掛け」は早々に読める。勝負どころはそんなところにはない。

 物語とヒロインの設定が面白い。舞台は1921年の英国。第一次世界大戦やインフルエンザの流行により多くの人が命を落とした時代。人は幽霊に救いを求めたのだという。怖がるよりも、まだ近くにいてくれると求められる幽霊。ヒロインはその幽霊の存在を科学的に否定することを生業としている。この時代、しかも女で、珍しい。彼女が探偵のように幽霊の謎を追う。

 女は全寮制の学校に招かれる。少年の幽霊が出没するとの依頼を受けたのだ。当時にしては最先端の道具や薬品を用いながらの調査に見入る。いかにも幽霊が出そうな空間で繰り広げられるそれが、妙にノスタルジーを誘う。夏休みの工作や研究に没頭しているときのような手作りの匂いが嬉しい。

 怖がらせ方は奇を衒ったものではない。むしろオーソドックス。ところがこれが、なかなか魅せる。光と影や埃へのこだわりが見える空間。時に絵画を思わせる構図。意味ありげな人形や模型。美術装置は派手さではなく気品を追求している。こうした細部がひんやりと効果的な恐怖の源となる。忘れてならないのは画面の色合い。ほとんど色を奪われたような静けさが、見えない情念をじわじわ浮上させる。

 しかし何と言っても、ヒロインを演じるレベッカ・ホールが素晴らしい。綺麗だけれど地味な佇まいが、この世界観に美しく溶け込み、これまでにない輝きを見せている。彼女の体温が映画の命だ。凛とした眼差しで調査に挑むときも、ふと見せる寂しげな表情も、恐怖に慄く姿も、意表を突いてエロティックだ。特に歯並びのよろしくない口元がいやらしい。ドミニク・ウエスト扮する教師を求める場面にはゾクゾク来る。色っぽくて…。高過ぎず安過ぎず、お手頃に色っぽくて…。手の届きそうなエロス。

 ストーリーを語ることが忘れられないのも重要だ。死んだ者、残された者。それぞれの立場から生と死にまつわる哀しみを見つめることで、それが立体的に立ち上がる。ホールが最後に直面する出来事は、大オチと言うよりも、語らなければならなかった現実として意義がある。途中ある人物が口にする「真実には代償が伴う」というセリフの意味を思う。しみじみとした余韻が続くわけだ。





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