コッホ先生と僕らの革命

コッホ先生と僕らの革命 “Der ganz große Traum”

監督:セバスチャン・グロブラー

出演:ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスラー、
   ユストゥス・フォン・ドーナニー、カトリン・フォン・シュタインブルク、
   トーマス・ティーマ、テオ・トレブス、アドリアン・ムーア、
   ティル・バレンティン・ヴィンター、ユルゲン・トンケル、
   アクセル・プラール、ヘンリエッテ・コンフリウス

評価:★★




 ドイツ・サッカーの父と呼ばれているらしい教師を主人公にした『コッホ先生と僕らの革命』は、決して完成度が高いとは言えない。ある学校に赴任してきた英語教師が、規則に雁字搦めになった教室に新風を吹かせる。子どもたちはその風の自由さに触れ、心を解放させていく。そのまま「いまを生きる」(89年)のプロットとして使えそうなそれだけれど、ここにはあの堅苦しさも辛気臭さも説教臭さもない。けれど、目を見張るゴールも決まらない。

 話は実に分かりやすい。規律第一の学校が、そのまま偏見に満ちた社会のメタファーとなる。規律を重んじて服従を強いる大人、それを疑うことなく受け入れる子ども…という大きな枠組の他にも、対立軸がたっぷり用意されている。教師と生徒。いじめっ子といじめられっ子。学校と後援会。裕福層と貧困層。国と地方。そして何より英国とドイツ。

 こうした分かりやすさは、物語の滑らかな転がりを誘い、感動も詰め込みやすい。作り手はそれに存分甘えて、まるで人間を記号のように動かす。基本は大人が汚れていて、子どもは無垢というもの。子どもは大人を映す鏡として、時に意地悪に、時に賢く、時に愚かに、時に勇敢にと教科書通りの反応を見せる。それが幼さに繋がる。

 繋がるのだけれどしかし、確かにここには快感があることを認めなければならない。定石を守るがゆえの安定感を味方につけて、この題材ならでは突破口を切り開こうという意思が見える。子どもたちの表情が第一の魅力になる。第四学年らしい男の子たちの溌剌とした表情が見える度に、土台が揺れる。特に父親が工場を経営しているデブの少年と、貧乏で退学寸前のもやしっ子の少年が愛らしい。もやしっ子を苛める少年は青年期のマイケル・シャノン風の佇まいなのだけど、彼らは同じ年齢という設定なのだろうか。あまりの体格差に驚く。

 第二の魅力はサッカーから放たれる。少年たちは頭では考えるより先に、ボールを蹴ることで社会を学んでいく。小難しい理屈は脇に置いておいて、まずはボールを蹴ることそのものから湧き出る真実を血や肉として迎え入れる。これが映画という芸術ととても相性が良い。視覚を刺激しながら、神経に電流を走らせる。もちろん運動力により画面を活気づかせる効果もある。ゴールは決まらなくても、汗が飛び散り気持ち良い。

 先生の名前はコンラート・コッホと言う。サッカーで大切なのはフェアプレーの精神と仲間意識だと語る。大変お行儀がよろしく、それがかえって物足りなくもあるものの、ダニエル・ブリュールのクマ風の風貌のおかげもあり、温か味が嫌味なく感じられるのはイイ。初めて学校にやってくるときの黄色と緑のチェックの帽子とベストがオシャレ。他にももっとファッション性を楽しめる画面が出てきて欲しかった。





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