サラ・ジェシカ・パーカー

 サラ・ジェシカ・パーカーと言ったら『SEX AND THE CITY』のキャリー・ブラッドショウ役ということになっている。98年にHBOがスタートさせた30分間のTVシリーズは、ニューヨークで暮らす全くタイプの違う4人の女たちの生き方をヴィヴィッドに明け透けに綴り、世界的な大ヒットを記録。エミー賞を始め賞レースも席巻。その後『セックス・アンド・ザ・シティ』(08年、10年)として現在のところ映画版が2本製作されている。文句のつけようのない成功であり、4人の中でも中心的存在であるパーカーが凄まじい勢いでスターパワーをつけていったのも当然のことと言える。

 ただし、パーカーは『SEX AND THE CITY』以外にも良い仕事を残しているのに、そちらについて全然語られなくなってしまったのは残念な気がする。キャリー役がハマり過ぎて、それ以来何を演ってもキャリーに見えるというのが、現在のパーカーの課題なのだけれど、役柄にさえ恵まれれば難なくそれをクリアしそうな喜劇センスを具えている女優だ。

 11歳のときにブロードウェイミュージカル『アニー』(76年)で主演し注目されたのが最初のブレイク(実は子役出身なのだ)。その後は『フットルース』(84年)や『ハイスクールはダンステリア』(85年)等に出演するもののもうひとつ強いインパクトは残せず、映画女優としては低空飛行が続く。ただし、演技力もあってか、90年代に入って徐々に大作での大役が増えてくる。『ハネムーン・イン・ベガス』(92年)ではニコラス・ケイジ、『ホーカス ポーカス』(93年)ではベット・ミドラー、『スリー・リバーズ』(93年)ではブルース・ウィリスと共演、大スターの相手役として株が上昇傾向に転じる。

 尤も、注目したいのは大作よりも小品におけるパーカーの見事な仕事ぶりだ。中でもデヴィッド・フランケル監督、アントニオ・バンデラス共演の『マンハッタン・ラプソディー』(94年)とティム・バートン監督、ジョニー・デップ共演の『エド・ウッド』(94年)が素晴らしい。前者は結婚目前の若いふたりが直面する問題を描いたコメディで、パーカーはハリウッドに招かれたばかりのバンデラスと共にユーモラスな掛け合いを見せている。後者は史上最低の映画監督と言われるエド・ウッドの伝記コメディで、バートンのウッドへの偏愛が至るところに感じられる一品。パーカーはウッドの最初のパートナーを演じて、やはりライトな演技センスを感じさせる。

 パーカーを見てつくづく思うのは、魅力的な女優であるためには必ずしも誰もが認める美女である必要はないということだ。美しいことはもちろん武器になるし、それを最大限利用するのも立派なことだけれど、それよりも人の心を掴むのは、一般的とはちょっと違う、ハズれた個性の方だろう。ジュリア・ロバーツなら大きな口が、アンジェリーナ・ジョリーならぼってりした唇が、ドリュー・バリモアならふくよかな頬が強烈な存在感に繋がっている。パーカーで言うなら、それは長い顔と魔女風の顔の作りだった。奇しくも『ホーカス ポーカス』で魔女に扮しているパーカーは、そこで共演したミドラーを連想させるファニーで、でも妖しくもある顔立ち。一見美人風なのだけど、鼻とアゴが長く(しかも尖っていて)、したがって顔全体も長いという面白顔で、それゆえ一度見たらそれが頭に残像として残る時間が長い。正統派の美人の顔はなかなか思い出せないけれど、パーカーの顔は一発で思い出せる。時折パーカーを馬顔だとからかった記事が出回るけれど、からかうべきではない。むしろその馬顔を讃えるべきなのだ。彼女の魅力は美しさだとかセクシーさだとかではなく、他にないファニーフェイスを利用した喜劇センスの方にあるのだから。

 ちなみにバートンは『エド・ウッド』に続いて『マーズ・アタック!』(96年)でもパーカーを起用、これがサイコーだった。TVレポーター役で登場したパーカーは、地球にやってきた宇宙人に捕らえられ、なんと顔以外を犬の姿に変えられてしまう。犬女、現る!これが無茶苦茶可笑しい。死ぬほど可笑しい。バカな女優ならやってられないと引き受けないだろう役柄をパーカーはとても楽しそうに演じていて、あぁ、パーカーはなんと良い女優なんだろうと感心したものだ。そしてもちろんパーカーにこの役柄を当てるバートンの見識の高さにも感心した。

 パーカーの面白顔はチリチリヘアが似合う。ストレートヘアだと顔の長さが目立ってしまうばかりなのだけど、チリチリヘアだと相乗効果なのか、面白顔のユニークさが際立って見える。『SEX AND THE CITY』の中でキャリーが奇抜なファッションを次々披露できたのも、パーカーのチリチリ面白顔あればこそだろう。あれだけ独創的な方向に走っても、大概はそれで魅せ切ってしまう(もちろん例外はある)。退屈な個性の美人女優では、ファッションの中に存在が埋もれてしまうところだ。

 ちなみに…パーカーはマシュー・ブロデリックと(無難な?)結婚に落ち着く前は、あのロバート・ダウニー・ジュニアと約7年間も交際していた。やはりタダモノではない気がする。早く新たな当たり役を掴んで欲しい。キャリー役以外の近年の代表作が『幸せのポートレート』(05年)『恋するレシピ 理想のオトコの作り方』(06年)『噂のモーガン夫妻』(09年)ではあまりにも寂しい。



教訓:規格外の何かは俳優の強力な武器になる。



MY サラ・ジェシカ・パーカー ムービー BEST 3
 1. 『マーズ・アタック!』(96年)ピアース・ブロスナンと共にMVP。犬女の衝(笑)撃!
 2. 『エド・ウッド』(94年)美しいモノクロ画面の中で仄かにフリーキーさを漂わせる
 3. 『マイアミ・ラプソディー』(94年)キャリー役の基礎の基礎はここに?





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