白雪姫と鏡の女王

白雪姫と鏡の女王 “Mirror Mirror”

監督:ターセム・シン

出演:リリー・コリンズ、ジュリア・ロバーツ、アーミー・ハマー、
   ネイサン・レイン、メア・ウィニンガム、マイケル・ラーナー、
   ロバート・エムズ、ショーン・ビーン、ジョーダン・プレンティス、
   マーク・ポヴィネッリ、ジョー・ノッフォ、ダニー・ウッドバーン

評価:★★




 鏡の女王はあまり賢くない。白雪姫の息の根を止めたいのなら、真っ先に狙うべきは眉毛ではないか。白雪姫を演じるリリー・コリンズはとにかく眉毛の主張が強力なオナゴだ。目の上に海苔のように貼りついた眉毛から発せられるパワーがとんでもない。物語上は勇気と行動力が彼女を駆り立てるのだけれど、いやいや、実際に力の源になっているのは眉毛だ。鏡の女王は一本残らず、白雪姫の眉毛を引っこ抜くべきだった。そうすれば女王の座は安泰だったはずだ。

 ターセム・シン監督が『白雪姫と鏡の女王』でコリンズを獲得した功績は大きい。そしてそれと同等に讃えられるべきは、衣装を石岡瑛子にまたもや担当させたことだ。「ザ・セル」(00年)でデビューして以来、シンはずっと石岡を起用し続けている。白雪姫の淡い色のドレスも綺麗だけれど、より魅せるのは鏡の女王のドレスだ。赤や黄色、オレンジといった明るい色を「落下の王国」(06年)にそのまま出てきそうな奇抜なデザインのドレスに落とし込んでいる。大きく広がったスカート部分のゴージャスさもさることながら、トップの建築物的な捻りも見ものだ。明るい色の中に仄かに腐臭を漂わせるのも素晴らしい。

 シンがヴィジュアル作りに重点を置いた作品を作るのはよく知られている。そして、ヴィジュアルさえ面白ければ話の方はさほど力を注がないという事実も知られ始めている。ここでもシンは画面のデザインにしか目を向けていない。彼にとっては物語など、たいして意味を持つものではないのだろう。御伽噺の世界を借りて、自分好みのヴィジュアルを発表する場。それが彼にとっての映画だ。ここではロケーションを拒否、スタジオ撮影にこだわることで作り物感を強調して、得意気だ。

 ヴィジュアル派だということは分かる。しかし、だからと言って、さすがに白雪姫以外の人物の描き込みはお粗末ではないか。中でも鏡の女王を若い男にご執心の「イタイオンナ」として描き出すのはいただけない。若さと美しさへの執着は分かる。しかし、若い男にしがみつくようなカッコ悪さは、女王に不必要なはずだ。ジュリア・ロバーツを配しておきながら、これはないだろう。

 ユーモアも実に幼い。王子様がマヌケに描かれるのは良いにしても、女王の惚れ薬のせいで、中身が犬になってしまうというのはどうなんだ。一場面だけのギャグではない。それがストーリーの中に組み込まれているのに驚く。アーミー・ハマーがハアハア言いながら、舌を出して、他人の手をべろべろ舐めているところを延々見たい人はどれだけいるだろう。

 こうした幼稚園児のような積み重ねがシンのセンスを狂わせる。終いには視覚効果を用いたバケモノまで登場する。ヴィジュアルにこだわるシンともあろう人が、バケモノが画面をチープにすることに気づかないとはこれいかに。黒魔術だかなんだか知らないけれど、バケモノの代わりに鏡の女王を暴れさせるべきだろう。

 シンのセンスはオープニングとエンディングで炸裂する。冒頭はこれまでの話を人形を使って説明するのがロマンティック。人形が陶器のように滑らかなのが味になっている。エンドクレジットでは白雪姫のコリンズがインド風の楽曲に乗せて、MUSIC VIDEO風に歌い踊るのが楽しい。コリンズの時折若さがちらつく歌唱が魅力になっている。色の氾濫も愉快だ。シンがMTVやCM出身というのに納得する。





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