バッドトリップ! 消えたNO.1セールスマンと史上最悪の代理出張

バッドトリップ! 消えたNO.1セールスマンと史上最悪の代理出張 “Cedar Rapids”

監督:ミゲル・アテタ

出演:エド・ヘルムズ、ジョン・C・ライリー、アン・ヘッシュ、
   イザイア・ウィットロック・ジュニア、スティーヴン・ルート、
   カートウッド・スミス、アリア・ショウカット、トーマス・レノン、
   ロブ・コードリー、マイク・オマリー、シガーニー・ウィーヴァー

評価:★★★




 保険会社に務める者たちが集まるコンベンションが舞台になる。なんだか退屈そうな匂いが漂うけれど、コンベンションはプレゼンするだけの場所ではない。宝探しゲームがあり、隠し芸大会があり、表彰式があり…人と人が繋がる人脈作りの場でもある。なるほど物語がドラマティックに動く可能性は高い。

 ここに放り込まれるのがエド・ヘルムズだ。彼は田舎から出たことのない真面目なオッサン。会社のトップセールスマンが自殺したことを受け、急遽代役で都会で開かれるコンベンションに向かう。飛行機にも乗ったことのなかったオッサンが、そこで現実を知る。金が舞い、嘘が飛び交い、マリファナが寄ってくる。オッサンは急激な変化を求められる。オッサンの、遅過ぎる、まさかのカミング・オブ・エイジ ストーリーとして見えてくる。

 『バッドトリップ! 消えたNO.1セールスマンと史上最悪の代理出張』という、明らかに例の酔っ払い映画を連想させる邦題がついているけれど、浮上する笑いは大笑いを誘うようなものではない。脇腹を突かれているようなくすくす笑いが持続する。「くすくす」は一回一回の衝撃は小さいけれど、積み重なることでボディブローのように効いてくる。「くすくす」の発信源になっているのが、個性的な登場人物にあることは言うまでもない。

 オッサンを演じるエド・ヘルムズはもうひとつ愛敬不足なのが不満だ。酔っ払い映画のように中心からズレたところにいてくれる分には問題ないのだけれど、真ん中で出ずっぱりとなるとやや辛い。この役柄だとスティーヴ・カレルがベストか。ただし、ヘルムズを取り囲む面々が頑張る。中でもジョン・C・ライリーが存在感たっぷり。他人への気遣いまるでなし、思うがままに突っ走る迷惑男でありながら、思いがけず情に深いところを見せるのが面白い。まるます太り、髪の毛のちりちりは相変わらず。小さな目の奥に下ネタを仕込みながら、愉快に暴走する。

 しかし、暴走と言ったら、シガーニー・ウィーヴァーの方がそれに相応しいかもしれない。ウィーヴァーが演じるのは、なんとびっくり、ヘルムズの恋人役だ。ヘルムズが12歳だったときの担任教師で、20歳近くの歳の差がある教え子を躊躇いなく喰う。冒頭に用意されるのは、ヘルムズ、ウィーヴァーによる仰天ベッドシーンだ。ウィーヴァーがヘルムズの上に乗っかって喘ぐ!もう拝むことはないだろうと思われた、バアサンに足を突っ込んだウィーヴァーのベッドシーンにひっくり返る。コンベンションで何かある度、ヘルムズがウィーヴァーに電話するのも、ある意味衝撃的。出番は僅かだというのに…。

 人はなかなか大人になれない。立派な大人に見える者でも、その内面がそれに追いついているかというと疑問だ。狡さを身につけている分、簡単に心は傷つくだろう。彼らは失敗するし、落ち込むし、絶望する。子どもがやるような愚行を平気で繰り返す。あぁ、大人って大人って…。

 …と思ったところで踏ん張りを見せるのがまた、大人だ。結末は「大人の底力」と呼ぶに相応しい展開が待っていて、ほろ苦くも人間でいることが誇らしく思えるものになっている。大人は知恵を武器にできる。自分を守るものはそれしかない。ダメな大人たちへのエールが、嫌味なく浮上している。





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