ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して “The Big Year”

監督:デヴィッド・フランケル

出演:スティーヴ・マーティン、オーウェン・ウィルソン、ジャック・ブラック、
   ブライアン・デネヒー、アンジェリカ・ヒューストン、ラシダ・ジョーンズ、
   ロザムンド・パイク、ダイアン・ウィースト、ジョベス・ウィリアムス、
   アンソニー・アンダーソン、ティム・ブレイク・ネルソン、
   ジム・パーソンズ、ケヴィン・ポラック、コービン・バーンセン

評価:★★★




 探鳥家の間では「ザ・ビッグイヤー」というコンテストが馴染みなのだという。アメリカ探鳥協会主催の記録会のことで、1年間に北米大陸で見つけた野鳥の種類の数が最も多かった者が勝利するらしい。早い話、バードウォッチングがそのまま競争となる。アルフレッド・ヒッチコックの「鳥」(63年)に恐れ戦いている場合ではない。

 地味!何と地味!しかし、その地味な響きとは違い、探鳥家たちが強いられる状況はかなり過酷だ。鳥はいつでもどこでも待っていてくれるとは限らない。場所によって、時間帯によって、季節によって出現ポイントが変わる。人間はそれに合わせねばならない。したがって探鳥家は鳥を目に焼きつけるがために、金も時間もたっぷり投資しなければ、優勝はもちろん、上位に食い込めない。地味!でも、厳しい!

 『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』は野鳥の観察に執着する人々を観察した映画だ。優勝したところで何が貰えるわけでもないというのに、彼らは鳥の飛ぶところ鳴くところに向かって一直線。そのためには仕事も家庭も犠牲がつきものだ。取引先を怒らせる。親に心配をかける。妻に愛想を尽かされる。それでもアイ・ラヴ・バードな人々の滑稽さよ。

 ふとクリストファー・ゲスト映画を思い出す。ゲストの映画はヘンテコな人間てんこ盛り。彼らの生態をじっくり眺めながら、人生の悲喜こもごもを浮上させるゲストの作風を思わせるところが多い。ただ、味つけはあくまでもハリウッド風。それが独特の味わいに繋がっている。冷静な探鳥家観察を維持。低温のままにエンターテイメントの快感を炙り出す。思い切って変化球を投げ込んでいる。

 観察される人選が効いている。スティーヴ・マーティン、ジャック・ブラック、オーウェン・ウィルソン…いずれもコメディでならしている者たちだけれど、その目には場合によってサイコな匂いをちらつかせる。それゆえ彼らが互いに、時に出し抜いて、時に連帯して、鳥を追い求める姿に陰影がついている。それぞれに財産・経験・知恵・知識を駆使して突進する。可笑しくも切なく、恐ろしくも愛しい。ありがちなスラップスティックな笑いに走らないのも良い。

 鳥の観察場面はいちいち見ものだ。カットが切り替わるごとに登場する野鳥がチェンジ、その景色ならではの鳥の姿が収められる。悪天候は探鳥家にはマイナスにはならない。鳥が降ってくるからだ。ゴミ捨て場も海の上も、探鳥家には天国だ。鳥の一羽一羽毎にその特徴に合わせた探鳥家エピソードを放り込んでも面白かったかもしれない。

 彼らは鳥を好きなばかりに人生を台無しにしているのだろうか。ある意味ではイエス、ある意味ではノーだろう。ジャッジは避けられる。鳥の目撃数は申告制。嘘偽りに塗れてもおかしくない中で、彼らは嘘を吐かない。ライヴァルの申告を信じる。そこに「ザ・ビッグイヤー」の意義が見え隠れしている。そしてそれはきっと、生きることに通じるものだ。





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