アベンジャーズ

アベンジャーズ “Marvel's The Avengers”

監督:ジョス・ウェドン

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、
   クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、
   サミュエル・L・ジャクソン、トム・ヒドルストン、
   クラーク・グレッグ、コビー・スマルダーズ、
   ステラン・スカルスガルド、グウィネス・パルトロウ

声の出演:ポール・ベタニー

評価:★★★




 人気スターを集めるだけでは愉快なエンターテイメントにはならない。実力ある俳優を集めるだけでも高級なドラマは生まれない。そしてもちろん、コミックファン、映画ファンに熱烈に愛されているヒーローを集合させても、それだけでは胸躍る興奮に繋がらない。むしろ大味で、中弛み多い、気の抜けた仕上がりになる確率が高い。しかし、『アベンジャーズ』はその危険を容易く乗り切る。

 アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカ、ハルク、ホークアイ、ブラック・ウィドウが集まり、地球の危機を救うべく共闘する。彼ら全員に見せ場を作らなければならない。でもそれをちんたらやっていては、10時間あっても終わることはないだろう。ジョス・ウェドンが賢明だったのは、この悩ましいポイントを巧みに操るところにある。省略がとにかく上手い。

 省略はここではむしろ、大きな武器として機能する。それぞれに自己紹介を兼ねた登場シーンを作る。その能力を派手にぶちまける山場を持ち込む。弱点・欠点を露にするエピソードを入れる。それらをしない代わりに、敢えて歪な輪郭を作る。わざとデコボコを作り、それが心にフックするように仕向ける。その積み重ねがいつしか、大きなストーリーとなって浮上する。

 アイアンマンは傲慢で協調性がない。キャプテン・アメリカは頭が固く時代遅れの匂いが濃い。ソーは弟が敵のボスという微妙な立ち位置にいる。ハルクは自制心が利かないという痛恨の弱点を持つ。ホークアイは敵に洗脳される。ブラック・ウィドウは唯一人、女という違和感をまとっている。こうしたそれぞれの特異性が話の鍵を握り、味となり、単純な型にハマりがちなヒーロー映画に蹴りを入れる。行儀良さを放棄して、混沌を味方につける。

 しかし何と言っても興奮する、最大の歪さは、ヒーロー同士の対決だろう。団結がテーマのひとつに掲げられているように、ヤツらは身も心もバラバラの状態で集まる。それゆえ精神的だけなく、肉体的にも対立する。これが「ヒーローの中では誰がいちばん強いんだ?」というファン心理を大いに刺激する。アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカの三つ巴戦。ハルクとブラック・ウィドウの閉所での追いかけっこ。ソーとハルクの肉弾戦。ブラック・ウィドウとホークアイの生身の肉体バトル。共に闘う場面ももちろん楽しいけれど、ひょっとしてファンが見たいのはこちらかもしれない。これがあるから遂に力を合わせる場面では「待ってました!」と叫びたくなる。どのヒーローが美味しいところを持っていくのか、という点も身を乗り出す注目点だ。

 ウェドンはおそらく、ヒーロー映画オタクの要素を具えた人だ。そこで周到に自分の、そしてヒーローファンたちの分身を話に滑り込ませている。クラーク・グレッグ演じるフィル・コールソンがその人物だ。平和維持組織シールドの長官ニック・フューリーの右腕である、有能なエージェント。単なる数合わせに終わらない重要な役割が与えられている。彼はファンと同じようにエールを贈っている。「俺たちのヒーローよ、頼んだぞ」。キャプテン・アメリカの大ファンで、トレーディングカードを集めているというのが、たまらなく可笑しい。

 アクションがない場面の停滞が気になる。一般人を巻き込んでの戦いに嫌な感触が残る。ヒーローをまとめ上げるニック・フューリーのカリスマ性が希薄。3Dの意義が感じられない。多数の欠点はあっても、ヒーロー映画のツボがスマートに押さえられ、意外なほど骨格は頑丈だ。ヒーロー映画の新たなる可能性が見える。これならばそれぞれが他のヒーロー映画に助っ人出演することも大いに可能だろう。マーヴェルコミックのヒーローたちは、これ以上ない幸せなポジションを確保したのだ。





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