屋根裏部屋のマリアたち

屋根裏部屋のマリアたち “Les femmes du 6ème étage”

監督:フィリップ・ル・ゲイ

出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、
   カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ベルタ・オヘア、ヌリア・ソレ、
   コンチャ・ガラン、マリー=アルメル・ドゥギー、ミュリエル・ソルヴェ、
   オドレイ・フルーロ、アニー・メルシエ、ミシェル・グレイゼル

評価:★★★




 株式ブローカーとして成功して裕福な結婚生活を送る中年フランス人男と、独裁政権から逃れパリに出稼ぎに来ているスペイン人メイドたちの交流。何ともくどい組み合わせ。しかも、ベタベタと汗臭い人情劇を連想させる。けれどどっこい、それが愉快に巧妙に避けられる。『屋根裏部屋のマリアたち』は意外にも、脚力が強い。水溜りに填まりそうになると、それをヒョイッとシラッと飛び越える。

 メイドたちの造形が強力だ。母国ではない国での暮らし。楽ではない仕事。貧しい経済事情。でも彼女たちは決して泣き言を言わない。そんなことをしている暇があるのなら、仲間と笑い合い、喧嘩し、また笑い合う。そしてそれをエネルギーに変換する。彼女たちはキツい仕事を愉しんでいるところがある。ピンチになれば互いに助ける。でもそれを自分一人の手柄として、ご主人には得意顔。ずるいのではない。知恵がある。雑なのではない。大らかさを具えている。

 ここで効いてくるのが、フランス人にスペイン人が仕えるという構図だ。優雅で教養があるけれど物事の本質が見えないフランス人を、貧しくても考える頭とハートを持つスペイン人が、上から眺めている。でも、バカにはしない。1960年代、時代の先を行くフランスと、内戦の影が残るスペインが、画面の中で知らず知らずのうちに柔らかな衝突を繰り返す。人物の精神的にも、舞台となるアパルトマンの構造的にも、二国の関係を象徴する組み立てが鋭く頑丈だ。

 これがあるからフランス人男とスペイン人女たちの関係に皮肉が浮上する。一見、心優しき者同士の温かな掛け合い。しかし実際は、どこかが噛み違っている。フランス人男が純粋に友情を育んでいるつもりでも、スペイン人女たちの佇まいには彼を利用している気配がある。詰まったトイレを直させたり、車で遠出したり、株を始めたり…男は、フランスは、ちゃっかりスペインに使われる。

 スペイン人メイドたちのキャスティングが良い。期待通り、だれも彼もが濃い。たいして化粧していないのに、まるで歌舞伎メイクでも眺めている気分を誘う、派手な作り。ヒロイン、マリアを演じるナタリア・ベルベケでさえジェニファー・ロペス的圧力を感じさせるのが可笑しい。主人役のファブリス・ルキーニは少々惚け方が足りない気もするけれど(アメリカでリメイクするならトミー・リー・ジョーンズかクリストファー・ウォーケンが適役?)、妻役のサンドリーヌ・キベルランは浅はかで軽薄な役どころを楽しんでいる。

 結末は少々綺麗にまとめ過ぎたかもしれない。もっとザラッとした手触りのそれを選んだ方が良かったのではないか。それと、子どもたちの存在がすっかり忘れ去られてしまうのも、気遣いが欲しかったところだ。





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