エアベンダー

エアベンダー “The Last Airbender”

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:ノア・リンガー、デヴ・パテル、ニコラ・ペルツ、
   ジャクソン・ラスボーン、ショーン・トーブ、アーシフ・マンドヴィ、
   クリフ・カーティス、セイチェル・ガブリエル、フランシス・ギナン、
   デイモン・ガプトン、サマー・ビシル、
   ランダル・ダク・キム、ジョン・ノーブル

評価:★★




 「どんでん返し」ばかりが注目されるM・ナイト・シャマランのそれ以上の特徴は、「意味あり気でありながら、実は中身のない演出」だろう。人間のコミュニケーション能力をバカにしたような「シックス・センス」(99年)からサスペンスの露悪的な生み出し方ばかりが目立った「ハプニング」(08年)まで全部同じだから、ある意味立派。『エアベンダー』はそのシャマランが初めて原作のある脚本に挑んだ作品で、これまでとは随分印象が異なっている。相変わらず薄っぺらい内容には違いないものの、笑える駄作に仕上がっているのが有難いのだ。

 まず、トレードマークだった意味のないタメが消えたのが良い。たいして物語や映像の力になりはしないのに目一杯に効かせるばかりの(その後全くフォローされない)タメがほとんど見当たらない。つまり物語がどんどん進んでいくわけで、どうせ空虚であるならば、その方がよっぽどすっきり見られるというものだ。

 シャマランはタメの代わりも用意していて、それが最新の視覚効果技術である。「気」「水」「土」「火」という4つの王国のバランスが「火」の国の反乱により崩れてしまった世界が舞台。国にはそれぞれの特性を操るベンダーと呼ばれる者たちがいる。主人公はその中でも全ての国の力を操ることができ、アバターと呼ばれている。こういう設定だから視覚効果を使う場面は次から次へと出てくるわけで、シャマランもノリノリで視覚効果を連発。水が空を駆け上がり、火が人々を追いかけるのを基本に、この世界観を表現するためには出し惜しみなんてしてられないと視覚効果の大盤振る舞い。

 …というわけのようなのだけど、シャマランが不幸だったのは身体と技の結びつきが薄いのに気づくことができなかったことだ。主人公を含め特殊技能を持ったベンダーたちが繰り出す術は、身体をくねらせたところで終わり、後は視覚効果任せ。身体と視覚効果が分離させられてしまうのだ。それゆえに生身の身体が動いたという満足感が得られず、確かに立派な視覚効果の数々が次第に虚しくしか映らなくなる。これはアクションにとって良いことではない。

 では、派手な視覚効果の後に残るものは何なのかというと、術を繰り出すためはそうしなければならないヘンテコな振り付け(好意的に舞いと呼ぶことも可能か)ということになる。おそらく太極拳風のパフォーマンスを意識しているのだろうだけれど、むしろヘタクソな歌舞伎にしか見えないのが可笑しい。いや、子役を含め俳優たちは頑張っていると思う。思うのだけれど、やっぱり可笑しい。それ、変だよ。ちなみに話は精霊云々の件あたりからわけが分からなくなる。もちろん、さして影響はない。

 主人公を演じるノア・リンガーは、時折ジイサンのような表情を見せるのが面白い。ただ、これよりもピッタリの役柄は「せんとくん」だと思う。鹿の角を装着したら、そのまま実写版せんとくんでイケる。TKO木下隆行と組めば、親子役も可能だ。おめでとう。

 シャマランはこれからこの路線を極めるべきだろう(極めるしかないとも言える)。これまでのやたら深刻ぶったトーンが抜けたおかげで、珍品監督として愛される可能性が生まれたと思うのだ。なんだか急に親近感が沸いてきた。気のせいか。





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