メリダとおそろしの森

メリダとおそろしの森 “Brave”

監督:マーク・アンドリュース、ブレンダ・チャップマン

声の出演:ケリー・マクドナルド、ビリー・コノリー、エマ・トンプソン、
   ジュリー・ウォルターズ、ロビー・コルトレーン、ケヴィン・マクキッド、
   クレイグ・ファーガソン、サリー・キングホーン、エイディ・フレイザー

評価:★★★




 ピクサー映画としては初めて、少女が主人公に置かれている。名をメリダと言う。いちばんの特徴はゴージャスにウェイヴがかかった赤毛だ。丸い顔から流れる赤が、「カゴの中の鳥」にはならないメリダの心象を映し出す。きびきびした動作も大変気持ち良く、とりわけ弓を引く姿がキマッている。

 加えて舞台となるのはスコットランドの緑豊か王国だ。バグパイプの音色が溢れる空間に、壮大なる自然が広がっている。実写と見紛う迫力の風景。美しく、艶かしい。注目すべきは、この大自然の緑とメリダの髪の赤が、互いに引き立て合っているという点だ。メリダが青いドレスを着用すると、なお映える。鮮やかな色が物語に魔法をかける。

 魔法をかける。かけるのだけれどしかし、その魔力は弱いものに落ち着いている。まず、ストーリーが案外普通なのだ。自立心旺盛なおてんば少女と、娘を思いながら上手くコミュニケーションが取れない母。母がクマに変身してしまったことで、ふたりの関係が動き始める。「ブラザー・ベア」(04年)というアニメーション映画もあったけれど、さほど魅力的な奇想ではない。

 メリダの造形もありふれている。これまでのピクサーの傑作は、そもそもの設定が面白かった。シェフになりたいネズミ、たった一人で地球を掃除し続けるロボット、風船で浮かんだ家と共に旅に出るじいさん…。それらに比べると、母との関係に悩む少女は、平凡というものだろう。もっと細部を創り込むことが可能だったのではないか。ディズニープリンセスの箱に閉じ込められてしまったような息苦しさを感じる。豊かなイマジネーションに裏打ちされた、ピクサーらしい捻りが欲しい。

 ふと思う。ひょっとして実写で撮影可能なのではないか。クマの描写をクリアできたなら、かなり迫力のある画が撮ることができるのではないか。ピクサーの生み出す画は綺麗だけれど、それでも生身の役者の演技には敵わないのではないか。今だったらメリダをジェニファー・ローレンス、母をジョディ・フォスターでどうだ。アニメーションならではの表現に乏しい。

 …とは言え、もちろん退屈する場面は皆無だ。語りのペース配分の乱れが目立つものの、鬼火やクマを中心に幻想美はなかなかのものだし、ヒーローを登場させないままに苦しい状況を打破していくヒロインは大いに頼もしい。いたずら好きの三つ子の弟たちの活躍も嬉しいところだ。つまり『メリダとおそろしの森』は、良くできたアニメーション映画だ。その上でさらに上を求めてしまうのは、ピクサーならでは。他スタジオの映画だったなら、喝采を贈ったかもしれない。





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