サルベーション

サルベーション “Salvation Boulevard”

監督:ジョージ・ラトリフ

出演:ピアース・ブロスナン、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、
   グレッグ・キニア、マリサ・トメイ、シアラン・ハインズ、
   イザベル・ファーマン、ジム・ガフィガン、ユル・ヴァスケス

評価:★★★




 何だかんだ言ってハリウッドは開かれている方だから、映画にキリスト教原理主義が出てくるときは、あまり良い風には描かれない。アクション映画における悪役の傍らに置かれたり、スリラー映画の道理として活用されたり…。そもそもそれを中心に据えた作品そのものがほとんどないのは、映画界もデリケートなものだと気づいているからだろう。『サルベーション』はそのタブーに挑む。

 映画の姿勢が揺らぐことはない。キリスト教原理主義が徹底的にからかわれる。公平な視線を保とうだとか、美点も取り上げようだとか、意外な側面を突いてみようだとか、寛容な視線は見当たらない。不条理に通じる思考回路、理不尽としか言いようのない言動を炙り出す。自らの罪を隠蔽することに必死な牧師。夫の言葉に耳を貸すことなく神父に寄り掛かる妻。信仰を守るために罪を重ねることを厭わない友人。距離を置いて見れば、なんと可笑しくて恐ろしい。ジョークで済ませられれば良いのだけれど、しかし…。しかし彼らは、本当にそれが最善だと思っている。

 見方の一方通行の息苦しさは免れない。ただ、ここが賢いところなのだけれど、信者の信仰の程度にグラデーションがつけられている。どっぷり宗教に浸かって気が狂っている程の者もいれば、宗教を都合良く利用して生き抜こうとする者もいる。それに支配されている者もいれば、自分で考える余裕を持つ者もいる。本来最も神に近い神父が、むしろ軽薄さを漂わせているところが巧い。ただし、他の信者たちはもっとメリハリが付けられても良かっただろう。

 舞台となるのは、教会主導、信者のための「丘の上の町」建設が進む南部の田舎町だ。この建設計画がほとんど話に入り込んでこないのは苦しいところ。神父が過って人を殺めるところから始まる物語は、それぞれの思惑が入り組んでいる割りに、さほど奥行きは深くない。酷く乱暴な言い方をするなら、宗教に洗脳されている側とそうでない側の境界が明白ゆえに、想像できる以上の転がりを見せない。アンサンブルの底が浅い。

 とは言え、役者は充実している。しかも、適材適所だ。とりわけ感心するのはピアース・ブロスナンとグレッグ・キニアの配役だ。ブロスナンがチープで胡散臭い笑顔を大いに活用して、神父を楽しく暴走させる。キニアは「偉大なる平凡」を極めて、信仰に振り回される情けなさを魅力的に見せる。ジェニファー・コネリーの思い詰めた目やジム・ガフィガンの人の好さそうな顔も活きている。

 しっちゃかめっちゃかの騒動の後、罪を犯した者にある救いが訪れる。本人は信仰のおかげだと感謝する。しかし、実際は信仰に裏切られた者の慈悲のおかげだ。思いが交わらないところに問題の根深さが見える。尤も、ここはもっと痛烈な皮肉を効かせた結末でも良かった。神父と対立する無神論者の動かし方も思い切りが足りないのでは?





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