ウルトラ I LOVE YOU!

ウルトラ I LOVE YOU! “All About Steve”

監督:フィル・トレイル

出演:サンドラ・ブロック、トーマス・ヘイデン・チャーチ、
   ブラッドリー・クーパー、ケン・チョン、DJ・クォールズ、
   キース・デヴィッド、ハワード・ヘッセマン、ベス・グラント

評価:★★




 ストーカーというものは行為を行う人物によって、(被害者にとっては迷惑なだけだろうけれど)受ける印象が全く違う。その者のパーソナリティによるところが大きいのだ。そして、映画というフィルターを通して見ると、ますます感触は雑多なものとなる。グレン・クローズやメリル・ストリープならホラーにしか見えないだろうし、ケイト・ブランシェットやジュリアン・ムーアならドラマティックなものが見えてくるかもしれない。アレクシス・ブレデルやジェシカ・アルバなら可愛く見える可能性すら秘めている。そして、サンドラ・ブロックだったなら、もちろんコメディになる。

 基本的には意中の相手に惚れ込んでしまったブロックの思い込みや行き過ぎた行為の数々を笑い飛ばすところにポイントが置かれている。事実、いつでもどこでも赤いブーツを履いているのが変だし(長靴にしか見えない)、膝丈のワンピースやミニスカートばかりなのも無理がある。寝癖で頭がボサボサなのもちょっとどうか。いつでもどこでも喋りっぱなしで、コトあるごとに手足をバタつかせるのもイタイだろう。初デートで車に乗り込んだ瞬間に性欲を爆発させるのも困っちゃう。これはスパッと江戸っ子風の持ち味のあるブロックだから笑える。可哀想な人として演じない。ブロック自身が自分自身を笑い飛ばせる人である点が効いているのだろう。でも、その後に彼女が受ける仕打ちまでは笑えない。

 あからさまに迷惑顔をされたり、子どもからバカにされたり、道に置き去りにされたり…。彼女に悪意がないことは火を見るより明らかで、もちろんこういう人間を相手にするのは疲れるものだけれど、だからと言って彼女に対する陰湿な行為の数々までを受け入れたいとは思わない。笑いだけではなく、嫌な後味を残しながら物語が進んでいくのだ。実はこの不快さは後々に伏線として効果を発揮するのだけれど、観ている間は戸惑いの方が大きい。

 後半に入ると、異質なものを排除することを良しとする世の中の構造が見えてくる。フォローできないストーカー行為はもちろん存在するけれど、ちょっと変わっているからといって(普通とは違うからといって)それを締め出そうとする気持ち悪さが糾弾されていく。人間であることに変わりはない者を頭から否定するのはどうか。当然そんなことをされれば誰だって傷つくのだ。実はこれこそが作品のテーマに繋がっていく。トーマス・ヘイデン・チャーチやブラッドリー・クーパーもそこのところに気づいて、ブロックに対するこれまでの態度を改めることになるのだけれど、このあたりが非常に乱暴に描かれているのが勿体無い。同様に、ブロックが引け目を感じることなくありのままの自分を愛そうとするようになる過程も大雑把。描かれるべきエピソードがごっそり省かれている印象。

 『ウルトラ I LOVE YOU!』はひょっとするととても旨味のある題材を持った映画ではないかと思う。人間の浅はかさだとか先入観、或いは自分らしく生きる難しさを、ストーカーの姿を通じて描き出すという、野心溢れる面白さを内包している。ただ、ストーカー行為が抱えるデリケートさゆえに、それを巧く捌き切れなかった感。ブロックの職業をクロスワード作家にしたあたりは大変ユニークで、ヒロインの輪郭をくっきりさせる効果を上げていたのに残念だ。





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