プレイヤー

プレイヤー “Les infidèles”

監督:エマニュエル・ベルコ 、フレッド・カヴァイエ、
   アレクサンドル・クールテ、ミシェル・アザナヴィシウス、
   エリック・ラティゴ、ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ

出演:ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ、ギョーム・カネ、
   サンドリーヌ・キベルラン、アレクサンドラ・ラミー、
   マチルダ・メイ、ジェラルディン・ナカシュ、イザベル・ナンティ、
   マニュ・パイェット、クララ・ポンソ

評価:★★★




 世界を征したフランス映画「アーティスト」(11年)でジャン・デュジャルダンを観たとき思ったのだ。なんて好色な顔つきなのだろうと。口ヒゲのおかげで適度な貫禄も漂わせていたけれど、それを取っ払ってしまうとなんとまあ、いかにもスケベエな匂いが溢れ出てくるではないか。生きているように動く眉毛。優しい垂れ目。伸びている鼻下。ゴムのように形を変える唇。撫でつけられた髪もいやらしい。

 デュジャルダンは自分がどう見えるかということを分かっているのだろうか。『プレイヤー』はそういうデュジャルダンの特質を活かした映画だ。テーマはずばり浮気。デュジャルダンが浮気男に扮してあれやこれやの大騒動。少々変わっているのはオムニバス形式になっているところで、デュジャルダンは何役にも挑戦。様々なタイプの浮気男を演じ分けるのが楽しい。役柄によってヒュー・ジャックマンに見えたり、北村一輝に見えたり、イメージがころころ変わる。

 デュジャルダンに加えて、ジル・ルルーシュも何人もの浮気男に扮する。一緒の話に登場することもある。デュジャルダン同様、愉快な軽薄さを漂わせるルルーシュは、さすが芸達者なのだけれど、ややデュジャルダンと体躯が似ているのが気にかかる。ふたりして素っ裸で洗面台に立ったときの後ろ姿、どっちがどっちなのかさっぱり分からぬ。ヒゲの濃さも同様だ。外見的にも全くタイプの違うふたりを用意した方が効果的だったかもしれない。

 とは言え、デュジャルダンとルルーシュの掛け合いは見応えがある。フランス映画らしく女好きの男たち。ヤツらはいつでもどこでも喋る。喰ってる間も喋る。セックスする間も喋る。呼吸する間も喋る。これだけ喋られるとかえって苛立ちを感じてもおかしくないのだけれど、これが役者の魅力と言うべきか、デュジャルダンもルルーシュもチャームに変換してしまう。しかも強引に、ではない。軽やかに、だ。そしてさらに、ふたりの喋りが畳み掛けられるように連なっていくと、爽快感まで浮上する。観る者が気持ち良く感じるリズムを会得しているふたりが見せるコンビネーションに、プロの技を感じる。

 憎めない浮気男を創造したふたりの技ほどに話からは刺激を感じないものの、退屈することはない。愛する妻がいながら、それでも他の女の尻を追いかけずにはいられない男たちと、適度な距離を保っているからだ。彼らに過剰な共感を寄せない。批判で突き刺すこともない。ただ、男たちの下劣で浅はかな行為を、ちょいと離れたところから見物している。

 するとどうだろう。その行為を深く分析したり、倫理観の中に放り込んだりするよりも、男たちの生態がくっきり見えてくる。世界は自分を中心に回っていると宣言するような言動を選びながら、実はちっぽけにせこせこちまちま動き回っているに過ぎない滑稽さが映画の水となってこぼれ落ちてくる。

 水が最も潤い豊かに沁みてくるのは、デュジャルダンとルルーシュが親友同士に扮した最初と最後の話だろう。デュジャルダン、ルルーシュ、そしてミシェル・アザナヴィシウスを含むフランスを代表する映画人がエピソード毎に監督を手掛ける意義は感じられずとも、この水を浴びない手はない。





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