ワン・デイ 23年のラブストーリー

ワン・デイ 23年のラブストーリー “One Day”

監督:ロネ・シェルフィグ

出演:ジム・スタージェス、アン・ハサウェイ、パトリシア・クラークソン、
   ケン・ストット、ロモーラ・ガライ、レイフ・スポール、
   トム・マイソン、ジョディ・ウィテカー、ジョージア・キング、
   アマンダ・フェアバンク=ハインズ、トビー・レグボ

評価:★★★




 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』は、大学の卒業式で出会った男と女のロマンス劇。友達でいようと始まったふたりの関係が、1988年から2011年までの23年間に渡って描かれる。まるで「恋人たちの予感」(89年)のようだけれど、それとは決定的に違うのは、7月15日しか出てこないという点だ。別にふたりが、一年に一回しか会わないというのではない。ただ、7月15日しか出てこない、23年間、23日の物語。

 男をジム・スタージェスが演じる。一言で言うなら、チャラチャラしている。人生のことなど深く考えない。今が楽しければそれで良いというタイプ。しかも、就職先はテレビ業界。露出度の高い服を着た女たちをはべらせる番組の司会までやってのける。ちゃらんぽらんで甘えた振る舞いの数々はスタージェスの資質に合っているとは思えず、少々気恥ずかしい。もう少し落ち着いても良かった。

 女に扮するのはアン・ハサウェイだ。男と違って真面目。作家を夢見ながら教師として働く。さすがにもう少し遊んでも良いだろうと言いたくなる毎日。彼女の弱みは男に本気で惚れていること。それを隠している。或いは気づかないふりをしている。いじらしく、切ない恋心。ハサウェイが落ち着いた物腰でしっとり演じている。

 ふたりの距離が縮んだり広がったりするところだけを取り出せば、なんてことはない。チャラチャラ男と一途な女の恋物語であり、男が現実を知り女が夢を叶えていく「スタア誕生」(37年)的物語として読むことも可能。ただ、いちばんの醍醐味はやっぱり、7月15日しか描かれないところにある。話が進むにつれ、人生の儚さが画面に溢れていくのだ。

 言うまでもなく、人生のターニングポイント的出来事の全てが7月15日に起きるとは限らない。出会いや別れ、結婚や離婚、誕生や死別は7月15日を無視して起きる。一年進む度にふたりの置かれている状況がどんどん変わっていく。つまり切り取られるのは、ふたりの取るに足らないかもしれない人生の断片だ。一日だけなら思うところのないものでも、それが23年分積み上げられていくことで、嫌でも時間というものを意識させられる。時が止まらないという事実を突きつけられる。一瞬の輝きはその直後から過去になっていくことを思わずにはいられない。

 ロネ・シェルフィグ監督は人生というものを、無条件では讃えてはいない。それどころかその無常を想って物思いに耽っている。終幕には、ある大きな出来事があり、回想という形でふたりが出会ったいちばん最初の7月15日が描かれる。ここに込められたものこそが、シェルフィグの人生観ではないか。それに激しく共鳴を覚える。

 時の流れを示すためにポップカルチャーにこだわらなかったのは賢明な判断だ。人物の変化でそれを悟らせる。生きる儚さ・辛さ・美しさが静かに沁み入る。エンドクレジットで流れるエルヴィス・コステロの「Sparkling Day」がとてもイイ。男から女へのラヴレターのようだ。胸に来る。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ