アメイジング・スパイダーマン

アメイジング・スパイダーマン “The Amazing Spider-Man”

監督:マーク・ウェブ

出演:アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エヴァンス、
   デニス・リアリー、キャンベル・スコット、エンベス・デヴィッツ、
   イルファン・カーン、マーティン・シーン、サリー・フィールド

評価:★★★★




 兎にも角にもアンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンが同じ画面に入ることで生じる化学反応が素晴らしい。それぞれ一人だけでも若い命の炎が燃えていることが伝わる肉体だけれど、掛け合いを見せるとその炎が何倍も高くなる。しかも、炎の中に風が通っている。涼しさを感じさせる炎。運命のカップルと呼ぶに相応しい。

 「その上」と言うべきか、「だから」と言うべきか、手掛けているのはマーク・ウェブだ。「(500)日のサマー」(09年)で見せたように、男と女の距離感を彼ほど魅力的に飾り立てられる監督はなかなかいないだろう。ガーフィールドとストーンの間が縮んだり広がったりする度、サスペンスが生まれる。しかもそのサスペンスは、ハートと密着している。遠くからしか眺められないとき、近くにいるのに遠く感じるとき、遠くにいても傍にいるように思えるとき…。若い命の呼吸だから、余計に眩しく可愛らしい。本当に好き合っていることが伝わる。

 そしてこれが、スパイダーマンの物語の中に盛り込まれている。『アメイジング・スパイダーマン』として再発進を切ったシリーズの第一弾。サム・ライミによる前三部作にも青春映画の要素はふんだんにあったけれど、鮮度で言ったらリブート版の方が断然上だろう。比較するような見方はするべきではないと承知しつつ、前三部作との相違点が興味深いことは間違いない。

 全体の印象は「スパイダーマン」(02年)と「スパイダーマン2」(04年)をミックスして、若干薄めた感じだ。ピーター・パーカーがスパイダーマンとして活動を始めるところは一作目の色が濃いし、一般人と協力してのヒューマンな戦いやヴィランの人間性に絡めた捌き方は二作目の匂いが強く出ている。ただ、いずれも切り上げは良くも悪くもあっさりしている。タメというものがなく、青年時と変身時の違いがさほど明確ではない。正体が簡単に明かされていくところに拍子抜けする…という結果を生んでいる。でもまあ、それゆえ余計に青春要素が際立っているとも言える。

 3D化はスパイダーマンのアクションの迫力を魅せるためのことだろうけれど、さほど効果は上げていない。ただ、退屈なアクションかというと違う。ビルとビルの谷間をスウィングするお馴染みの動きにはメリハリがついている。糸を使った垂直移動、水平移動も気持ち良い。天井に貼りついた状態での四つん這いの動きも愉快だ。何よりスパイダーマンが爽快に動くことのできる空間を用意できている。3D映像自体は機能していなくても、3D化を意識したことでユニークな構図が生まれているのも幸運だ。

 加えてスパイダーマンを演じるガーフィールドが奮闘している。前三部作のトビー・マグワイアに比べると身体の線は細い。が、長い手足が功を奏し、独特のスパイダーアクションにエレガントな味が出ている。純情を絵に描いたような表情を浮かべながら、しかし誤った方向へ堕ちてしまいそうな危うさも感じさせる。それがアクションにも表れている。やんちゃさと結びついたユーモアにも合っている。幾度となくスパイダーマンが携帯電話をかけるのが可笑しい。

 ヴィランはトカゲのバケモノ、リザードだ。演じるリス・エヴァンスの皮膚が爬虫類化するところが不気味だ。ただ、完全変身した後は視覚効果塗れで面白くない。「スパイダーマン2」のドクター・オクタヴィウスのように「人間」を残すという選択はなかったのか。

 前三部作同様、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というテーマが浮かび上がる。もはや新鮮味はないと思われたテーマに、新しい風を吹かせられたのはウェブのおかげだろう。パーカーが愛する女性に見せる最後の決断がグッとくるのも偶然ではない。





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