スノーホワイト

スノーホワイト “Snow White and the Huntsman”

監督:ルパート・サンダース

出演:クリステン・スチュワート、シャーリズ・セロン、クリス・ヘムズワース、
   サム・クラフリン、イアン・マクシェーン、ボブ・ホスキンス、
   レイ・ウィンストン、ニック・フロスト、トビー・ジョーンズ、
   エディ・マーサン、スティーヴン・グラハム、リリー・コール

評価:★★★




 断わるまでもなく、『スノーホワイト』のいちばんの見ものはシャーリズ・セロンだ。グリム童話に収められていることでも馴染み深いドイツの民話「白雪姫」を、アクション・アドヴェンチャーとして蘇らせる。この試み自体はハリウッドが得意とするところで、もはや新味はない。ただし、白雪姫の継母にして悪の女王ラヴェンナは例外だ。セロンはあの美貌を惜しみなく活用する。ダークカラーのドレスを鮮やかに魅せる。永遠の若さと美しさに固執して醜くなることを躊躇わない。邪悪な華が咲き誇る。火の打ちどころがない美女ゆえの説得力。

 セロンが創り出した女王がもたらすヴィジュアルのインパクトが素晴らしいゆえ、細部の粗が目立つのは皮肉だ。悪の女王が若さと美しさに囚われる理由があっさり処理されるのは拍子抜け。女王が使う魔術が生み出す衝撃も物足りない。セロンの美貌ほどに輝かない。そして、最大の問題はセロンが出てこない場面が活気づかないことで(猟師役のクリス・ヘムズワースは健闘しているが…)、姿が見えなくなる度に画面が錆びつく。

 つまりそれは、白雪姫の造形がさほど上手く機能していないことを意味する。クリステン・スチュワートをセロンと比較するのは酷だけれど、美しさはともかく、存在感という点ではもっと善戦しても良かったのではないか。白雪姫は悪の女王を倒す希望なのだから。

 尤も、白雪姫の敗北をスチュワートだけのせいにするべきではない。新しく生まれ変わった白雪姫は幼少期を幽閉されて過ごし、成長してからは守られながら仲間のいる場所へ逃げるのみ。死から蘇った後は理由なく戦う戦士となり、突然ジャンヌ・ダルク化。生のシンボルとしての記号以上の意味を持たないヒロインだ。

 しかも、白雪姫の単純な変貌が、そのまま映画のストーリーになっている。つまり囚われ、逃げ、戦うだけ。まあ、原作がさほど長いものではないので、よくぞここまで伸ばしたものだと讃えるべきなのかもしれない。ただし、伸ばしたところで、中身が充実するわけではない。

 とは言え、空虚な物語を忘れてヴィジュアルに集中すれば、観るべきところは存在する。セロン登場場面を別にすれば、画面の色合いは最大の注目点だ。寒々とした白。そこに落とされる命の象徴である赤。逃避行の際はグレイに支配され、小人(ドワーフ)が出てきてからは緑が氾濫する。特に緑が溢れる場面は光の切り取り方が独特であることもあり、幻想美がたっぷり。小人や猟師を従えての旅の過程が「ロード・オブ・ザ・リング」(01年)そのものなのには苦笑しつつ、それでも心が洗われる。

 クライマックスの女の戦いはもっと盛り上げられたはずだ。スチュワートとセロンが遂に一騎打ちとなる。当然応援するのはセロンになるわけだけれど、物語上はスチュワートが勝たなくてはならない。…となると、どれだけセロンが派手に散っていくかが見所になるはずなのに、いともあっさり。セロンがスチュワートを甚振るショットが少ないのも惜しいところだ。女の本音を炸裂させるチャンスでもあるだろうに。

 いっそのこと女王を主人公に置き、醜悪さを前面に出した作りにした方が面白かったのではないか。そして、白雪姫の持つ「偽善」を炙り出すのだ。セロンなら画面を隅々まで悪の色で満たしてくれるはずだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ