恋人たちのパレード

恋人たちのパレード “Water for Elephants”

監督:フランシス・ローレンス

出演:リース・ウィザースプーン、ロバート・パティンソン、
   クリストフ・ヴァルツ、ポール・シュナイダー、ハル・ホルブルック、
   ジム・ノートン、マーク・ポヴィネッリ、リチャード・ブレイク

評価:★★




 思わず身を乗り出すのは、サーカス一座が舞台になっているからだ。それも移動サーカス、時は禁酒法が施行され、大恐慌真っ只中の1931年ときた。あぁ、ロマンをそそる。いつもと同じ時間が流れているはずなのにあら不思議、そこは幻想的な異空間だ。フランシス・ローレンス監督の第一の興味も、この空間作りにあったのではないか。

 果たして『恋人たちのパレード』のいちばんの見ものは、サーカスの細部描写にある。大きなテントの張り方。ライオンや虎、馬といったスター動物の飼育。独特の色合いの美術。列車を使った場所移動。観客の歓声。そしてもちろん、サーカスの見世物の数々。円形ステージの中、技を持った者たちが舞い踊る姿に惹き付けられる。器具に頼ることなく、自らの身体を信じる者たちの華やぎよ。撮影がその美しさを捉える。

 通常の映画よりも空間作りが狭くなっているのが面白い効果を上げている。列車内はもちろん、控え室や寝室も奥行きがなく、したがって人間同士の距離が短い。密着に近い位置で触れ合うことになる。息苦しいような、しかしすぐ傍に人がいるのが嬉しいような、不思議な空間。サーカスの魔法はステージ上だけで有効なのではない。

 …というわけで当然のようにロマンスが生まれる。奏でるのは両親を事故で亡くし天涯孤独の身となったばかりの青年と、一座の長の妻だ。長は妻を愛するがあまり、スターパフォーマーでもある彼女を見えない鎖で縛りつけている。もちろん青年と長の妻の愛は燃え上がる。それにも関わらずうっとりするような画が少ないのは、演じるロバート・パティンソンとリース・ウィザースプーンの化学反応が不発に終わっているためだ。弟と姉にしか見えず、むしろ落ち着かない気分を誘う。パティンソンもウィザースプーンも時代に溶け込んでいるのにどういうわけだろう。

 特にウィザースプーンは、最近では珍しく、美しく撮られているのに勿体無い。ウェイヴのかかったプラチナブロンドと、涼やかなブルーの瞳が輝いている。普段の衣装も悪くないけれど、とりわけステージ衣装が面白い。新入りの象と一緒のショットも魅せる。

 一座の長を演じるクリストフ・ヴァルツはまたしてもねっとりいやらしい役柄。口の動かし方が独特で、出てくる度に場をさらう。ただ、役柄としては奥行きが深くない。気の小ささを大きな態度でごまかしている程度の悪にしか見えない。非人間的な行為に簡単に走る割りに、小物感が強いのだ。恋愛の障害として、哀れに小粒。

 象のロージーももっと上手く動かせたはずだ。サーカスの希望の象徴として登場し、しかしなかなか開花せず虐げられ、ところがポーランド語に反応することが分かりスターに。最後は恋のアシストをやってのける。実は物語は象を中心に回っていると言っても過言ではないというのに、都合良く扱われている印象が強い。困ったときの象頼み、みたいな。象と一座の交流をもっと観たかった。





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