素敵な人生の終り方

素敵な人生の終り方 “Funny People”
監督:ジャド・アパトウ

出演:アダム・サンドラー、セス・ローゲン、レスリー・マン、
   エリック・バナ、ジョナ・ヒル、ジェイソン・シュワルツマン、
   モード・アパトウ、アイリス・アパトウ、RZA、エミネム、
   レイ・ロマノ、ジャスティン・ロング、ジェームズ・テイラー、
   サラ・シルヴァーマン、リリ・テイラー、オーウェン・ウィルソン

評価:★★




 ジャド・アパトウ映画だと言うのに、いつになくしんみりしている。下品で、いやらしくて、愚かで…なんてのを正々堂々魅せるアパトウにしては、シリアスな匂いが濃厚。それもそのはずファーストシーンから、主人公は現実を突きつけられる。急性白血病だというのだ。聞いただけで気分が落ちる。アパトウも茶化すのは心苦しかったのか。

 かくして『素敵な人生の終り方』はいつものアパトウ映画とはバランスが異なる。下品で、いやらしくて、愚かで…というポイントを抑え目に、もうひとつの特徴であるそれでも憎めない部分を膨らませている。アパトウ映画が憎めないのは、ガキのような笑いを振り撒いても、その根底に真心と呼ばれるものが敷かれているから。この映画では真心を大切に、エモーショナルな部分を次々突いてくる。

 気持ちは分かるものの、むしろ残念だ。難病にかかった男をシリアスに語るのは当たり前が過ぎるのではないか。こういうふざけにくい題材でこそ、いつもの調子で飛ばすところに意義があるのではないか。そしてそれができるのはアパトウのような新しいユーモアを具えた人なのではないか。自分の武器を放棄して、楽な方に逃げたように見えなくもないのだ。

 でもまあ、主人公が涙を見せないのは有難い。演じるアダム・サンドラーは涙ではなく、毒を撒き散らす。負けてたまるかという心の強さを大切にしているというよりも、極力湿っぽいのは避けようというアパトウの配慮が働いているのだろう。いや、結局湿っぽいのだけど…。

 アパトウは湿っぽいのをさらに避けるべく、この手の展開では考え難い捻りを繰り出す。話はその捻りの前と後では異なる表情を見せる。ふたつの映画を見せられている気分になる。難病映画として成立していた前半から一転、ホッとするのは事実でも、それより腑に落ちない気分が強くなる。構成をもっと練る必要があったのではないか。ただでさえ冗長になりがちなアパトウ映画なのに、おかげで上映時間はもう少しで150分だ。

 人気コメディアンが主人公なので、その仕事の舞台裏が見えるのは楽しく、切ないところだ。日本では「芸人」を名乗りながら愚かに振る舞うだけの輩が幅を利かせているけれど、ここに出てくるのは売れている者も売れていない者も、スタンダップショーで鍛え上げられた本物ばかりだ(もちろん好みはあるだろう)。話術で人を笑わせる、その醍醐味。期待していたほどに受けず、惨めな思いを強いられる悲哀。

 ここで効いてくるのは、サンドラーに弟子入りする形になるセス・ローゲンの存在だ。たまたま同じステージに立ったことをきっかけに、サンドラーの身の回りの雑用をこなしたりネタを考えたりするようになる。深い意味はなかったはずの関係がしかし、思いがけず先輩から後輩へエールを贈る形となる。もちろんローゲンは知らず知らず鍛えられる。同じ業界に生きる者同士の心の通じ合いは、難病云々よりもよっぽど胸にくる。ローゲンの温か味が活かされている。恋愛話を潔くカット、こちらをもっと突っ込んで欲しかったところだ。





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