ジェーン・エア

ジェーン・エア “Jane Eyre”

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ

出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、
   ジュディ・デンチ、ホリデイ・グレインジャー、サリー・ホーキンス、
   タムジン・マーチャント、イモジェン・プーツ、アメリア・クラークソン

評価:★★★★




 シャーロット・ブロンテによるあまりに有名な文学を下敷きにしている。映画化は数え切れない。時代は19世紀前半の英国だ。都会から遠く離れた田舎が舞台になる。それにも関わらず、キャリー・ジョージ・フクナガ版『ジェーン・エア』は古臭くない。むしろ新しささえ感じさせる。柔らかく瑞々しい香りに包まれている。この新しさの源は何だろうか。

 様々な理由が考えられるけれど、最大の理由はヒロイン、ジェーン・エアをミア・ワシコウスカが演じていることだろう。義理の伯母から愛を受けることなく育てられた少女が、しかし自由な心を忘れることなく大人になっていく。家庭教師として迎えられた屋敷で、尊厳を持って生きられる喜びを感じながら、いつしか決してとっつきやすくはない何歳も歳の離れた主人と恋に落ちる。よく知られたジェーン・エアの半生を、ワシコウスカが凛とした佇まいで、生きる。

 母国オーストラリアから活動の場をぐんぐん広げているワシコウスカで真っ先に感心するのは、立ち姿の美しさだ。当時のボリュームのあるスカートの上に乗っかったウエストが折れそうに細いのに、意外や芯のある力強さを具えている。背骨も天に向かって気持ち良く伸びている。首のラインも清々しい。

 肌は真っ白だ。ワシコウスカはこの白に、微妙なニュアンスを加える。人を労わる優しさ、物事を自分の「目」で見る賢さ、縛られない自由な発想。女性の地位が家柄や財産によって決められ、活動も限られていた時代。ジェーンは俯くよりも、空を見上げる。その生き方に、ワシコウスカの儚げでありながら伸びやかな個性が、美しくハマっている。終幕になると頬の白に赤味が注すのも可愛らしい。

 フクナガはワシコウスカの肉体の周辺を、隅々まで綿密に描写している。格調高い美術装置。ランプや暖炉の火の温度を伝える照明。季節によって表情を変える風景。ウエストをギュッと絞った衣装。特に衣装には胸躍る。ジェーンは家庭教師なので華やかな色のドレスを着ることはない。大抵がグレーかブラウンの濃淡でまとめられる。ただ、その分細部が凝っている。フリルの使い方は子どもっぽくないし、複雑に編み上げられた髪ともよく合っている。豊かな細部が、自由な精神を失わないジェーンの生き方にリンクすることは言うまでもない。

 ジェーンがロチェスターのプロポーズを受ける場面は、作中最も歓び溢れる。ロチェスターに別に愛してる人がいると悟り打ちのめされているジェーンへ、ロチェスターからのまさかの求婚。抑えていた感情の水が高く舞い上がる。季節は春。草の緑が、木々を揺らす風が、穏やかな光が、突然の雨が、ふたりを優しく祝福する。

 話は前後する。もうひとつ、ふたりが庭先で話をする何気ない場面も良い。会話の最後にロチェスターが、花をプレゼントする。それは石垣の隙間から必死に咲いていた小さな小さな一輪。青い色がジェーンの心に広がっていく。

 フクナガ版はひょっとして、これまでで最も若々しい『ジェーン・エア』かもしれない。生命力と密接に結びついた意志の強さが、そのまま若さとなって感銘を与えている。





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