ケイト・レディが完璧な理由

ケイト・レディが完璧な理由 “I Don't Know How She Does It”

監督:ダグラス・マクグラス

出演:サラ・ジェシカ・パーカー、ピアース・ブロスナン、グレッグ・キニア、
   クリスティナ・ヘンドリックス、ケルシー・グラマー、セス・マイヤーズ、
   オリヴィア・マン、エマ・レイン・ライル、
   セオドラ・ゴールドバーグ、ジュリアス・ゴールドバーグ

評価:★★




 TVシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」(98~04年)はサラ・ジェシカ・パーカーの人生を変えた。主人公キャリー・ブラッドショウがそのままパーカーのイメージとなり、いつでもどこでも「キャリー」を求められるようになった。これは女優としては危険な現象だ。何をやっても「キャリー」として見られることを意味する。一生涯の役柄に出合える俳優が限られていることを考えれば、贅沢な悩みには違いない。

 果たしてパーカーは、『ケイト・レディが完璧な理由』でも「キャリー」を求められる。キャリーのようにはファッション性は高くないし、高給取りでもない。何よりふたりの子どもの母親だ。…それにも関わらずキャリー。ケイト・レディという名前でもキャリー。夫がビッグではないのにキャリー。パーカーは本来もっと起用なのに、これいかに。ヒロインはキャリーの変形ヴァージョンでしかない。…と言うか、最初からそのセンを狙っている。

 キャリーに見えてしまうのにはもうひとつ理由がある。キャリーのイメージを忘れさせるほどに、物語が強力ではないのだ。庶民的なワーキングマザーの日々のずっこけエピソードを並べたに過ぎない。ストーリーらしいものがあるとするなら、ヒロインがクライアントの男によろめきかける件ぐらいだろう。後はもう、ずっこけ話の洪水。シットコムに見えるのも仕方ない。序盤のいちばんの笑いが「子どもにうつされたシラミが痒いよー」というのだもの。

 ずっこけ話の数々から聞こえてくるのは、「働くママはこんなに大変なのよ!」という叫びだ。キャリアウーマンとして仕事のプレッシャーに塗れ、妻として夫に惜しみない愛情を注ぎ、母として子どもたちの世話にてんてこ舞い。ナニーを雇っちゃうけど。目指しているものは共感だ。実際、働くママは本当に大変だと思う。

 ただ、この共感が胡散臭いのは大いに困る。大変さを切々と語りながら、その背後から更なる声が聞こえてくる。「そうなの。働くママは大変なの。だからもっと協力してちょうだい。敬ってちょうだい。理解してちょうだい」。同情を促す匂いが臭くて、逆にハッと我に変える。確かに立派だけれど、それを声高らかに主張しなければカッコ良かったのに。褒美が同情だなんて、チープだと思わないのか。

 演出はチープなそれに見合っている。心の中を全て説明するナレーション。テロップによる状況紹介。観客に語り掛けるスタイル。周辺人物の証言カット。どれもこれも煩いか、滑っているか。まあ、気取られるよりはマシか。

 それにしてもキャリー…じゃなかったパーカーは地味だった。オフィスシーンが多いとは言え、グレイ中心のダークスーツばかりなのに落胆する。もう少し遊びがあっても良いだろう。現実的?いや、そうすると結局、理解ある男たちへの甘えに寄り掛かったハッピーエンドが説明できないではないか。





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