バッド・ティーチャー

バッド・ティーチャー “Bad Teacher”

監督:ジェイク・カスダン

出演:キャメロン・ディアス、ジャスティン・ティンバーレイク、
   ジェイソン・シーゲル、ルーシー・パンチ、ジョン・マイケル・ヒギンス、
   フィリス・スミス、モリー・シャノン、デイヴ・アレン

評価:★★★




 「メリーに首ったけ」(98年)でファレリー兄弟があれだけ下ネタに振り切ることができたのは、キャメロン・ディアスというミューズの獲得に成功したからに他ならない。どれだけ下品にいやらしく愚かに飛ばしても、不快さを軽やかに飛び越える。自分を笑い飛ばすことのできる天真爛漫な個性と、伸びやかな肢体が、あの世界に綺麗にハマったのだ。『バッド・ティーチャー』はディアスに同じことを期待する。彼女にビッチの種を植えつける。

 ビッチの種はしかし、狙いほどには美しい花を咲かせない。ジェイク・カスダン監督はあることを怠っている。「メリーに首ったけ」でファレリー兄弟は、ディアスの個性に寄り掛かることを良しとしなかった。物語の下地に、誰もが知っていることなのに、誰もが開けっ広げには話さない、人生の猥雑さにまとわりつく偽善を露にする工夫を忘れなかった。この映画には、ディアスならばただのビッチにはならないだろう、可愛らしく見えるだろうという甘えが、彼方此方に散らばっている。

 だから物語は予定調和に逃げる。授業は映画の垂れ流しばかり、マリファナを吸い、アルコールに溺れ、試験を盗む不良教師が、極めてまともな判断を下す。金を選ばない。豊胸手術を諦める。真実の愛に目覚める。おそらく作り手はその「方法」に彼女らしさを見つけているのだろうけれど、痛快さはアッという間に薄れた。ビッチはビッチのまま突っ走るべきだ。どれだけ強引だったとしても。

 ディアスと張り合う同僚女教師の動かし方もいまいち弾けない。一見良識があるタイプ、しかし実際は…誰からも疎まれるタイプなのが、最初から透けている。…となると観る側が肩入れしたくなるのはビッチの方なのは当たり前なわけで、ふたりの対比は機能をなしていない。そもそも演じるルーシー・パンチはディアスのライヴァルにはならぬ。脇にいてくれる分には気にならない人のはずなのだけど…。ジャスティン・ティンバーレイクとジェイソン・シーゲルもディアスの前には魅力薄。特にティンバーレイクは全く面白味が感じられない。

 そんなわけで、見せ方が巧くないとは言え、ディアスが見所なのは間違いない。いちばんの名シーンはもちろん、洗車の件だ。赤いチェックシャツを胸の下で結び、ホットパンツからは健康的で長い足が伸びている。泡と車と戯れるディアスにはプレイメイトも負けた、かもしれない。うん、思い切りが良いじゃないの。「同じパーカーを週三回も着るような男は29歳まで童貞だって決まってるわ」という名ゼリフも効いている。

 ディアスは根がサーファーガールなのか、小じわが目立つタイプ。でもそれを全然隠そうとしないのが良い。老けをからかわれることが多くなってきたけれど、「言いたきゃ言ってれば!私はそれでもイイオンナよ!」と堂々としている。好もしいことだ。その老けてきた自分をしたたかに利用する技を使えるようになれば、なお面白くなるだろう。「イタイオンナ」を魅力的に見せるには今がチャンスだ。





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