ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い “The Hangover”

監督:トッド・フィリップス

出演:ブラッドリー・クーパー、ザック・ガリフィアナキス、エド・ヘルムズ、
   ジャスティン・バーサ、ヘザー・グラハム、ジェフリー・タンバー、
   マイク・エップス、マイク・タイソン、ケン・チョン、レイチェル・ハリス

評価:★★★★




 バチェラーパーティでは何かとんでもない事件が起こると決まっている。「オトコのキモチ」(03年)では気がつけば見知らぬ女が横に寝ていたし、「ベリー・バッド・ウェディング」(98年)では殺人事件が起こった。そして『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』では花婿が消え、クローゼットで赤ん坊が泣き、バスルームで虎がご機嫌斜めに歩き回る。

 なくした記憶の糸を手繰り寄せて、仲間たちがどこかに消えた花婿を探し出すという基本ストーリーには、品と呼べるものが一切ない。汚い言葉が入り乱れ、尻が丸出しになり、嘔吐物が食道を逆流する。しかし、これが滅茶苦茶に面白い。酒に負けて記憶をなくしたときのあの不安感が、弾むリズムによりあっけらかんと描き出されていくという、矛盾を抱えた気持ち良さが芯にあるからだ。一度でも酒で記憶をなくしたことのある人間ならば、余計に可笑しいだろう。

 出てくる男たちはバカが揃っている。カッコつけた振る舞いが前面に出ているブラッドリー・クーパー。付き合っている女に頭が上がらないエド・ヘルムズ。どこか世間からズレているザック・ガリフィアナキス。記憶をなくしてとんでもない大騒動を巻き起こす彼らははっきりとバカなのだけど、バカはバカでも気の良いバカなのが嬉しい。根っこのところではバカなりの連帯感でさり気なく繋がっていて、それゆえどれだけバカに走っても、親しみやすくて憎めない。掛け合いを見せるだけでバカ度を何倍にも上昇させるところも強烈で、バカの連鎖による破壊力は相当なものだ。

 バカを楽しく華麗に操る脚本が素晴らしい。これ以上ないというくらいシンプルなストーリーに謎解きの要素を絡ませて、展開に吸引力を持たせているのも上手いし、荒れ放題の部屋に残された手掛かり(伏線)を次々回収していくのも手際が良い。虎に赤ん坊、ストリッパーに中国人、果てはマイク・タイソンまでが登場して、ヤツらの暴走を豪快に暴いていく。意外に考えられているのは画面作りの面白さで、バスルームに虎がいる画、ガリフィアナキスが赤ん坊を抱っこする画、トランクから飛び出す全裸の中国人の画…等要所要所で強烈に目に焼きつくショットが出てきて、視覚に刺激を与えていく。

 俳優たちの弾け方も痛快だ。中でも世間ズレしたデブを演じるガリフィアナキスが独特の可笑しさを見せる。一見鈍いだけの男なのに、気づかれない程に僅かな毒を滑り込ませるのが上手い上、一度動き出したら簡単には止まらない勢いが感じられる。相手の油断を見逃さず、瞬時に自分の世界に引きずりこんでしまうパワーがある。ガリフィアナキスのおかげでバカのコクも深いものになった感。それからヘザー・グラハムの登場も嬉しいところで、ほとんど奇跡のように歳をとっていないのにビックリ。この人の純真無垢な佇まいは本当に心洗われる気分。

 次から次へと笑いの爆弾が落とされていく、ただそれだけの映画だけれど、ちゃんと教訓も用意されている。時には酒で記憶を失うのも楽しい。でも誰か一人はシラフでいること。うむ、ひょっとするとすごくためになる映画なのかもしれない。





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