恋と愛の測り方

恋と愛の測り方 “Last Night”

監督:マッシー・ダジェディン

出演:キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、エヴァ・メンデス、
   ギョーム・カネ、グリフィン・ダン、ダニエル・エリック・ゴールド

評価:★★




 男の女の関係なんて何がきっかけで壊れてしまうか分からない。逆に思いがけず結びつくことだってあるだろう。たとえ「結婚」という名の契約を結んだふたりだったとしても、例外ではない。『恋と愛の測り方』はそれを大袈裟に語り上げる。愛やら恋やらの定義づけなど、まるで意味のないことだ。踏み出すか踏み出さないか。ただ、それだけ。それ以上でもそれ以下でもない。そんな普通のことを一本の映画として成立させてしまった強引さは、褒められるべきなのかもしれない。

 目指したのはおフランス映画なのだろうか。やたら登場人物が喋り捲る。一夜の出来事を描いているに過ぎないのに、寝る間も惜しんで話し続ける男たち女たち。ムードたっぷりの音楽を背景に、彼らはそれぞれの過去と現在を明らかにしていく。そして、答えのない恋愛論へと発展させていく。不毛だ。過去に何があったにせよ、今どういう思いを抱いているにせよ、それに理由付けして何になるだろう。本能に忠実であるか否か。彼らは自らの行為を正当化しようと必死だ。

 浮かび上がるのは精神的な浮気と肉体的な浮気の違いだ。ある者は一線を超えてしまい、ある者はグッと踏み止まる。またある者はそれに耐え切れなくなり、またある者はそれをなかったことにする。恋愛を定義づけされた枠の中に押し込もうとする愚かさを飛び越えて、善悪の境界が予想外に曖昧にされていく。ここが唯一の面白いポイント。物事を見る角度を僅かにずらすだけで、誰が正しくて誰が悪いのか、簡単に変わる。誠実な反応だろう。

 結婚相手とは違う何かを感じる者との関係が、夢物語のように描き出されていくのはチープだ。現実との対比を狙ったのだろうけれど、束の間の浮気心を刺激するものとして、当たり前が過ぎる。生活に密着することを余儀なくされる結婚生活とは異なり、他者との空間が別物に見えるというのは事実だろうけれど、夜の闇に乗じてそれを美しく仕立て上げるのは、あまりに安易ではないか。

 そう、夜の描き方がもうひとつ色っぽくない。ニューヨークとフィラデルフィアの一夜の出来事、黒い闇とそこに入り込んだ光を意識していることは間違いない。ただ、特別な魔法がかかったような魅力には乏しい。夢とは違う、吸引力となる別の何かが欲しかった。

 役者のアンサンブルもいまいち説得力に欠ける。キーラ・ナイトレイとギョーム・カネはまずまずだけれど、サム・ワーシントンとエヴァ・メンデスはそれぞれのイメージを壊したかったのか、やけに理屈っぽく愛を語るのに落胆する。彼らにはやっぱり、衝動的なものを追い求めて欲しい。それが野獣の生きる道。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ