容疑者、ホアキン・フェニックス

容疑者、ホアキン・フェニックス “I'm Still Here”

監督・出演:ケイシー・アフレック

出演:ホアキン・フェニックス、アントニー・ラングトン、キャリー・パーロフ、
   ラリー・マクヘイル、ベン・スティラー、ショーン・コムズ

評価:★★




 ホアキン・フェニックスが俳優を引退し、ヒップホップミュージシャンに転向すると宣言したとき、それを信じた人はどれくらいいただろう。俳優が簡単に引退を口走り、すぐに撤回する昨今。しかも、舞台は何でもありのハリウッドだ。当然フェニックスのそれも気まぐれとして受け取った人が大半だったのではないか。

 ところが、ミュージシャン活動への専念がやけに長かったのだ。フェニックスはミュージシャン転向を、ことあるごとに本気の決断であると主張する。しかも、以前では考えられないような奇行が増えていく。本当にステージに立ち、パフォーマンスまで披露する。しかもそれが、ドヘタクソだ。もしかして頭がおかしくなってしまったのかもしれない。どこへ行くんだフェニックス。マジなのか?!

 ケイシー・アフレック監督とフェニックスの誤算は、それでもなお、世間が彼らを信用しなかったことだ。メディアも疑いの目を向ける。マズイ。すっかり信じさせておいて、映画で種明かしをして驚かせるはずだったのに…。このままでは俺たち、ほんまもんのバカじゃないか。当然、作品の軌道修正が図られたはずだけれど、それが巧くいかなかったのは明らかだ。何しろ『容疑者、ホアキン・フェニックス』、つまらないのだ。

 「幼い頃から“俺”を演じてきた」と、まるで押尾学のように冒頭で語るフェニックスは、「勘違い俳優」を熱演している。だけどホレ、観ている方には彼が騙そうとしていることはすっかりバレているわけで、つまりあんぽんたんとしか映らない。壮大なる失敗の騙しを延々見せ続ける映像に成り果てている。

 常に寝癖。伸び放題の髭。だらしない脂肪。変わり果てた姿のフェニックスはしかし、諦めない。ハッパでトリップし、汚い言葉を吐き散らし、女を買い漁り、終いには諍い中の男から寝顔に大便を落とされる。自業自得とは言え、フェニックスも大変だ。いくら崩壊していくスターの内面を描き出そうとしていると言っても、泣けてくるではないか。

 最大の見せ場はやはり、ヘナチョコラップだろう。100人中100人がブーイングを浴びせるだろう酷さで、確かにこれはある意味可笑しいのかもしれない。気の毒なのはプロデュースを頼まれたショーン・コムズ。デモテープを聞かされた彼は、酷さに慄き、頭を抱えてしまう。その表情。マジかよ…みたいな。しかも苦し紛れに「最初の二曲は良かった」なんて言っちまうのだ。これぞまさしく、一生の不覚。ここははっきりダメ出ししなければならなかった。コムズは数少ない敗北者だ。あぁ…。

 そんなわけで思うのだ。どうせなら、失敗した騙しの裏側を描けば良かったのではないか。俺たち何をやってるんだ?…と苦悩するところを映すのだ。愚か者たちの嘆き節。もしかしたら、可愛いバカだと笑ってもらえるかもしれない。

 世間を欺くアフレックとフェニックスの計画は見事失敗する。フェニックスなど、他のプロジェクトを4年間も放棄することになる。ファンは怒るのだろうか。いや、ホッとしている人の方が断然多いはずだ。フェニックスが優れたキャラクターアクターであることは、既に証明されている。もうすぐ彼が帰ってくる。





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