キラー・エリート

キラー・エリート “Killer Elite”

監督:ゲイリー・マッケンドリー

出演:ジェイソン・ステイサム、クライヴ・オーウェン、ロバート・デ・ニーロ、
   ドミニク・パーセル、エイデン・ヤング、イヴォンヌ・ストラホフスキー、
   ベン・メンデルソーン、デヴィッド・ホワイトリー

評価:★★




 ジェイソン・ステイサムが主演すれば、例外なく、それは「ジェイソン・ステイサム映画」になる。役柄が異なっていたとしても、設定が風変わりだったとしても、時代が変わっていたとしても「ジェイソン・ステイサム映画」になる。拙い演技がそう見せるのではない。ステイサム自身が持つ空気。周りのそれを俺色に染め上げる感染力が高いのだ。あまりに軸が頑丈ゆえ、どこを切っても同じに見える。これは欠点…ではない。紛れもない武器だ。ステイサム好きはステイサムを観に行く。いつもの彼が観られれば、それでホッとするのだ。

 ところが、『キラー・エリート』はステイサムに挑戦する。「ジェイソン・ステイサム映画」の破壊を試みる。ステイサムを主演に迎え、しかし「ジェイソン・ステイサム映画」を目指しはしない。あの手この手を繰り出す。ステイサム好きはそのあがきを楽しめば良い。

 まず、話を複雑にしてみる。孤高の元殺し屋。オマーンの反乱分子。殺しの斡旋組織。英国特殊部隊SAS。それと繋がりのあるフェザーメンと呼ばれる謎の集団。立ち位置の異なる人物を大量投下し、しかもその思惑を小難しく絡ませることで、単純な見かけにならないようにしている。当然ステイサム演じる元殺し屋もそれぞれの思惑を考え込む。それにも関わらず、ステイサムはいつも通りだ。目の前にいる敵に向かっていくだけ。複雑にしてみたところで、ステイサムはステイサムだ。

 続いて、頭脳戦の要素を濃くしてみる。考えるより先に身体が動くステイサムに、頭を使わせる。チームプレイ、綿密な作戦といった、大凡不釣り合いの戦いに放り込む。ステイサムもちょっとはインテリ風味になるかもしれない…なんてことは、しかし、もちろんない。格闘が始まってしまえば、それまでの頭脳戦など全てが吹き飛ぶ。だったら最初から身体ひとつで立ち向かう方が良いのではないか。

 物語に政治を絡ませたりもする。実は映画には原作があり、元SASのノンフィクション小説をベースにした、実話なのだという。利権の絡んだ、政治の世界の闇が漂い始める。が、ステイサムはそんなことを気にするような男ではない。正義は正義。悪は悪。自分の殺し屋稼業は都合良く忘れて、派手にぶちかます。ヤツは政治など、恐れない。つまり絡ませたところで、たいした意味はない。と言うか、ステイサムが出てきた時点で、実話を基にしているなんて信じられなくなる。

 クライヴ・オーウェンを投入してみる。いかにもあくどい顔つきのオーウェンはフェザーメンのメンバーだ。こちらは頭を使って、なんとかステイサムを捉えようとする。肉体で敵わないなら知恵を絞って…というのは良いのだけれど、如何せん、依然切れ味あるステイサムの肉体には知恵だけでは対抗できない。椅子に縛られたままのステイサムにやられてしまい、面子丸潰れ。もうちょいゴネて、見せ場を貰えば良かったのに。

 まさかのロバート・デ・ニーロまで担ぎ出す。ステイサムの恩師役で登場するデ・ニーロはしかし、最近の映画同様、何もしない。ただ、いるだけ。弟子のステイサムが活躍するのを眺めるだけだ。本人に最初からやる気がないのだ。ちゅーかデ・ニーロ!ホント、なんでまたこんなところに…。もっと良い映画、あるだろう。デ・ニーロの迷走は続く。

 そんなわけで「ジェイソン・ステイサム映画」の破壊は、気持ち良く失敗に終わる。当たり前だ。ステイサムの金太郎飴的個性は、そう簡単には崩せない。だから彼はスターになったのだ。あっぱれステイサム。めでたし、めでたし。





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