幸せの行方...

幸せの行方... “All Good Things”

監督:アンドリュー・ジャレッキ

出演:ライアン・ゴズリング、キルスティン・ダンスト、フランク・ランジェラ、
   フィリップ・ベイカー・ホール、クリステン・ウィグ、リリー・レーブ、
   マイケル・エスパー、ダイアン・ヴェノーラ、ニック・オファーマン

評価:★★




 ニューヨークの巨大不動産会社の御曹司とごく普通の家庭に育った女の物語は、実際の出来事が基になっているという。身分違いの恋から始まった関係が、いつしか血生臭いそれへと変化を遂げる。確かに映画向きの題材のように思える。ただ、旨味ある材料が揃っていても、調理法が幼くては美味いものは作れない。映画は映画でもチープなTV映画的な印象だ。日本で言うなら、今はなき火曜サスペンス劇場がせいぜいだろう。

 ライアン・ゴズリングは何故この御曹司役を引き受けたのだろう。特別な才能もなければ、野心もない平凡な男。あるのは親の金だけ。我慢強く観察していると、いちばん最初に浮かぶその謎が徐々に明らかになる。この御曹司、どうやら精神的に問題を抱えているらしく、次第に愛する女に暴力をふるうようになるのだ。秘めていた暴力性と狂気が静かに露わになる。ゴズリングはこの部分を表現したかったに違いない。

 実際ゴズリングは、御曹司の複雑怪奇な心象をほとんど表情を変えないままに巧みに操っている。ただ、作り手はゴズリングの才能に寄り掛かるばかりで、魅せ方の工夫を怠る。幼い頃に母親の自殺を目撃したことをきっかけに男の心は壊れてしまった。それが未だに尾を引いていると説明するだけだ。妻は消える。ある日突然姿を消す。曖昧に描きながらも、作り手の解釈はひとつしか用意されない。見え見えの真相だ。火サスでももう少し捻るところだろう。

 後半は突如ドメスティック・ヴァイオレンス映画の様相だ。女の妊娠をきっかけに壊れ始める幸せな生活。怒りをコントロールできなくなった男が、本棚を破壊したのを手始めに不穏な言動を繰り返す。なす術のない女は怯える以外に道を選ばない。安易だ。ただ、直接的なDV描写が抑えられているのは有難い。情緒不安定な言動により、それを悟らせる。雨の降る中、湖の中程に流されたボートを、ブリーフ一丁で泳いで取りに行く場面など、上手い。

 ゴズリングが次々に似合わない衣装を着せられるのは、ある意味見ものかもしれない。どう考えても大き過ぎる蝶ネクタイ、白シャツとゴム短パン、真っ白なセラピーユニフォーム、シミだらけの老けメイク、ごついだけでバレバレの女装…。何かの冗談かと思うほどだけれど、ファンサーヴィスと言えなくもないか。キルスティン・ダンストは綺麗なんだかそうじゃないんだか、よく分からないまま。生活感が感じられなかったのは、演出の拙さゆえか。

 ベースとなる事件は、「史上最も不穏な未解決事件」と呼ばれているようだ。『幸せの行方...』はそのヴェールを剥ぎ取る。しかし、剥いでみたら、案外フツーだった。実際の証言を頼りにする実話物にありがちな結果だ。想像力と創造力の欠如がトドメを刺す。





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