ジョイフル♪ノイズ

ジョイフル♪ノイズ “Joyful Noise”

監督:トッド・グラフ

出演:クイーン・ラティファ、ドリー・パートン、
   ケケ・パルマー、ジェレミー・ジョーダン、
   コートニー・B・ヴァンス、デクスター・ダーデン、
   ジェシー・L・マーティン、クリス・クリストファーソン

評価:★★




 兎にも角にも、ドリー・パートンがますますとんでもないことになっている。いつの頃からかお直しマニアと化していたパートン。65歳を過ぎたというのに、いやそれだけの歳を迎えたからなのか、全身の直しに全力を捧げている。突っ張った肌。めくれ上がった唇。スイカのような胸。ポッキーのように細いウエスト。ほとんどサイボーグというか、バケモノというか。お直しというものは、一旦手を出すと歯止めをかけるのが難しいとよく分かる。

 ただし、不思議と嫌な気分はない。それはパートンがそういう自分を受け入れているからだ。ケチ臭く隠すことなどしない。それどころか喜んで見世物になるわよとばかりに、大金をかけた身体の全てを見せつけていく。作中「整形だらけ」とギャグにする場面が出てくるくらいだ。大らかじゃないか。ちまちまこそこそシワ取りに励みながら、しかしメディアの前では「ありのままがいちばんよ」などと白々しく言い放す輩より、尊敬に値する。お直しするなら、こうでなくっちゃ。シェールと並び、お直し界のツートップとして頑張ってくれ。メグ・ライアンやメラニー・グリフィスはまだまだ甘いね。ちなみに、パートンの愛すべき目立ちたがり気質は役柄にも表れている。登場人物中、ひとりだけブロンド。唇は真っ赤。衣装は不自然に身体のカーヴを強調するものだらけ。色は原色系たっぷり。絶対本人の希望だと思う。

 聖歌隊を描いたミュージカル映画というと「天使にラブ・ソングを…」(92年)を思い出すけれど、『ジョイフル♪ノイズ』が目指したのは、それよりもTVシリーズ「glee/グリー」(09年~)だろう。寂れた田舎町の希望の星とも言うべき教会の聖歌隊が、ジョイフル・ノイズと呼ばれる聖歌隊の歌唱コンクールの優勝を目指す話。昔ながらの神聖な音楽だけでなく、ポップミュージックやヒップホップの要素を取り入れて、栄光に向かって突き進む。決勝当日を迎えるまでに仲間たちのすったもんだがあるのは言うまでもない。ワーオ、ホントに「glee/グリー」だ。マーケティング担当、読んでいる。裏側が透けるのは野暮とは思いつつ、楽しいのだから良いじゃないかと寛容な気分にもなる。

 歌って踊ってまた歌って…という演出の合間に挟まれる物語は、「変化」という言葉がキーワードになる。古いものも良いけれど、でも新しい場所に進まなければならないこともある。音楽に新しい要素を入れる演出とリンクしている。分かりやすくて結構だ。ただ、古いものへの敬意が、全くの見せ掛けに終わっているのはどうか。決勝パフォーマンスは聖歌隊である必要がどこにあったのかさっぱり分からぬ。これは変化を受け入れるのではなく、周りに合わせただけということではないのか。最も重要なところが雑に処理されている。

 多分作り手は、最後を大盛り上がりで見せれば、それまでの問題が全て吹き飛ぶと考えたのだ。魅力的な嵐になれば、それがちっぽけな人間の悩みを全て取り去ってくれる。これはこれまでの名作と呼ばれる映画でも、姿形を変えて採られてきた演出のひとつなのだけど、細部が雑に処理されるこの映画では盛り上がった後に結局、至るところにゴミが散らばっている。きちんと回収しなさい。いや、まあ登場人物のそれぞれに見せ場を作る楽曲は、楽しいんだけどサ。

 クイーン・ラティファはやっぱり良い。聖歌隊の中心人物で、パートンと対立する役柄。彼女の大らかな佇まいは、楽曲よりもよっぽど、心の宇宙の広がりを感じさせる。もちろん歌唱場面は貫禄たっぷり。演技云々とは別の価値を証明する。皆が彼女を好きになるのも無理はない。





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