Black & White/ブラック&ホワイト

Black & White/ブラック&ホワイト “This Means War”

監督:マックG

出演:リース・ウィザースプーン、クリス・パイン、トム・ハーディ、
   ティル・シュヴァイガー、チェルシー・ハンドラー、アンジェラ・バセット、
   ジョン・ポール・ルタン、アビゲイル・スペンサー、ジェニー・スレイト

評価:★★




 ひょっとして「シャーロック・ホームズ」(09年)の影響なのだろうか。友人にして恋のライヴァルである男ふたりの間に流れる空気が奇妙なことになっている。ストーリー上はひとりの女をめぐって対立するふたりなのに、その溝が深くなればなるほどに、同時に親密さを増しているように見える。どれだけ相手を貶しても罵り合っても血が流れても、精神的距離の近さは隠せない。クリス・パインとトム・ハーディ、整った顔立ちの男ふたりが、実は互いの想いを確かめ合う映画じゃないかと邪推してしまう。

 …となると気の毒なのはリース・ウィザースプーンだ。傍から見ればヒロインはれっきとした二股女。それを好感度の高い彼女に演じさせる。何とか共感を搾り出すことを目的とした配役だと思われる。ところがマックGの興味のほとんどはパインとハーディに向いている。ヒロインの造形はウィザースプーンに丸投げだ。恋人との別れから立ち直っていないとき、偶然続けて出会ったイイオトコ。気の置けない友人に相談しながら、本当の運命の人を見極めていく。特徴らしい特徴のない女。ウィザースプーンには役不足というものだろう。捻りの効いた魅力が無駄にされる。でも、猪木の顎はやたら目立つ。まさかそれこそが演出か。

 アクションとロマンティック・コメディの融合を試みた映画だけれど、どちらの要素も溶け合わないばかりか、中途半端に終わっている。アクションの不出来はオープニングを見れば分かる。降り注ぐ銃弾により緊張感を出し、人物に寄り過ぎるカメラで迫力を捉えようとする。近年のハリウッドの病と言うべき、ズタボロの編集もしっかり目立つ。本格派のそれを狙って、見事に滑っている。

 ロマコメとしても胸躍る楽しさには程遠い。前述のようにヒロインを魅力的に描き出せなかったことが大きいし、男ふたりの行動の幼さばかりが強調されるのが物足りない。正体はCIAエージェントである男たちが職権を乱用して、相手を蹴落とそうとするところに笑いとロマンを見つけているものの、そのくだらなさに芸がないのだ。ここまでバカになれるなんてロマンティック!…と思わせる背負い投げ的大胆さがない。相手のデートを水浸しにするとか麻酔銃で眠らせるとか、器の小ささを得意気に見せられても困る。いや、女の家にふたりしてカメラを仕掛ける場面の呼吸にはワクワクしちゃったんだけどサ。

 大体最初から女がどちらと結ばれるか見え見えなのだ。大抵のロマコメは結ばれるまでの過程の面白さこそが見ものだから良いのだけど、この映画は男ふたりが同格ゆえ、重要なところのはずだ。それを一切無視、ある「保険」を用意することで、フラれる方もハッピーエンドであることが透けている。

 さらに言うなら、ヒロインが最終的に一方に相手を絞る決め手というものが描かれないのが卑怯だ。どちらも良い男。欠点はあっても良い男。顔も内面も良い男。では差はどこにあったのか。それを描かないものだから、ヒロインがますます軽く見える。

 …と散々悪口を並べた『Black & White/ブラック&ホワイト』なのに、意外にも不快な気分とは無縁。あんまり退屈もしない。雑だなぁと思いながら、それでもちょいと甘く見てしまうのは、「何歳になっても男は子ども」という真実に苦笑してしまうからかもしれない。否定できないそれが、数々の欠点の角を丸くしてしまうのだった。





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