ジョン・カーター

ジョン・カーター “John Carter”

監督:アンドリュー・アダムソン

出演:テイラー・キッチュ、リン・コリンズ、サマンサ・モートン、
   マーク・ストロング、シアラン・ハインズ、ドミニク・ウエスト、
   ジェームズ・ピュアフォイ、ブライアン・クランストン、
   トーマス・ヘイデン・チャーチ、ウィレム・デフォー、ダリル・サバラ

評価:★★




 まず、主人公ジョン・カーターを演じるテイラー・キッチュが、さほど魅力的に見えない。だらしなく伸びた髪の毛やターザン風なだけで工夫が見られないコスチュームが原因かとも思ったけれど、それよりもキッチュの筋肉の質によるところが大きいのではないか。一般人と比べたら、そりゃもう、立派な身体だ。ただ、上半身を中心に乗っかったそれが、必要以上に弾力性があり、柔らかなのだ。硬質の筋肉の持つ美しさに乏しい。そしてそこから放たれる瞬発力に迫力がない。早い話、見栄えが良くない。

 そのキッチュが迷い込むバルスームという世界がまた、既視感を煽るものだ。突然70年代に作られた映画でも観ている気分になる。真っ先に連想したのは「スター・ウォーズ」(77年)だ。果てしなく広がる白い砂漠と岩山。そこには不釣り合いの飛行船。地球では見たことのないクリーチャー。異形の種族。そして、侵略が底に敷かれた抗争。そのまま「スター・ウォーズ」のスピンオフとして通用しそうだ。

 それも当然なのかもしれない。原作はエドガー・ライス・バローズによる「火星のプリンセス」(1912年出版)で、「スター・ウォーズ」に大きな影響を与えたとも言われるSF小説の古典らしい。「スター・ウォーズ」こそ『ジョン・カーター』の借り物なのか。そうだったとしても、結局それは言い訳にしか聞こえない。原作が古典だろが、それを映画化するならば、今の映画として描き出せなければ意味がない。原作はあくまで1912年の人間が思い描いた空想の世界だ。古風なのではなく、古臭く映るのそのためだ。どうせならば、歴史劇風の風格を目指せば良かったのに。

 アニメーション映画ではあんなにリズミカルだったアンドリュー・スタントンの演出力は見る影もない。「スター・ウォーズ」同様、アクションがゲーム的に処理されているのが味気ない。重力により地球上よりも強靭な力を得た主人公の動きには軽快さがなく、飛び上がるときはゴム人形にでもなったみたい。どれだけ身体が傷ついても痛みはなく、それゆえ失われていく命に重みが感じられない。3D映像にも特別な効果はない。

 サーク族とやらがすっかりお馴染みになってしまったモーション・キャプチャーで表現されているのも退屈だ。主人公にバルスームを紹介し、クライマックスでは鍵を握る種族だというのに、高身長を持て余し、ひょこひょこ頼りなく動くばかりだ(それでも好戦的という設定)。聞けばウィレム・デフォーやサマンサ・モートン、トーマス・ヘイデン・チャーチといったクセモノが起用されている。何の意味もない。

 個人的に最も納得がいかないのは、主人公と恋に落ちるヘリウム国の王女を演じるリン・コリンズの配役だ。クリスティーナ・アギレラに中東の匂いを振りかけたような容貌で…自分だけで悪者を倒せるだろうと言いたくなる逞しさが溢れている。キッチュとの見た目の相性もよろしくない。そして話はというと、このコリンズの政略結婚を阻止できるかどうか、というのが軸にあるのだ。古臭い上にカビまで生えているではないか。





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