第九軍団のワシ

第九軍団のワシ “The Eagle”

監督:ケヴィン・マクドナルド

出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・ベル、ドナルド・サザーランド、
   マーク・ストロング、タハール・ラヒム、ダグラス・ヘンシャル

評価:★★★




 西暦120年、ローマ帝国全盛期を舞台にしていると聞くと、どうしても身構えてしまうのだけど、そんなに硬くなる必要はない。『第九軍団のワシ』はいたって健全な冒険活劇だ。「週間少年ジャンプ」あたりに載っている漫画が原作でもおかしくない(実際は英国の歴史小説家ローズマリー・サトクリフが原作)。残酷な描写もあるにはあるものの、上昇気流に乗るチャニング・テイタムが、そのロマンを分かりやすく伝える。

 要所要所に置かれる戦闘アクションがいちばんの見所になっている。殺陣の場面は人物に寄り過ぎている上、カメラも闇雲に動き過ぎだけれど、古風な作戦の数々には面白いものがある。砦の周りを火で焼き払う戦法、盾を亀の甲羅のようにして身を守りながら隙を突く戦法、馬車に刃物を装着して敵の脚を狙う戦法…等。ハイテクとは無縁でも知恵を絞った戦い。最大の敵役となるアザラシ族が呪術使いっぽいのも良い。

 物語の吸引力となるのは、テイタムの父親の失踪だ。5,000人もの兵士からなる第九軍団を率いていた父は、侵攻先のカレドニアで、ローマの象徴である「黄金のワシ」と共に忽然と姿を消す。テイタムは汚名を晴らすべく、真実を探す旅に出る。実はこの軸の部分は、明らかになる真相が「普通」であることもあって、さほど頑丈ではない。誇りや名誉といったそれに付随するテーマは、ぼんやりした輪郭のまま終わることになる。父親との関係も盛り上がりに欠ける。

 ただし、その分前面に出ているのが、テイタムとその奴隷であるジェイミー・ベルが奏でる「忠誠」と「友情」だ。剣闘試合で慈悲をかけてもらったベルが、本来憎むべき相手であるテイタムに忠誠を誓い、すったもんだがあった末にそれが友情へと変化していく。いかにも「ジャンプ」!一時テイタムを守るべく、ベルが演技で彼を奴隷扱いする件など、直球ど真ん中のツボを突いてくる。弱ったテイタムを救うため、ベルが険しい山中を全力疾走する場面は、ほとんど「走れメロス」だ。ベルはメロスのようには迷わない。苦悩しない。弱音を吐かない。強いぜベル!ベルが主役になっちゃったぜ!

 テイタムはガタイの良さを活かしたパフォーマンスで好もしい。甲冑は学芸会の衣装に見えず、血だらけになってもそれがメイクに映るようなモデル風の安さもない。歴史に放り込まれても、ちゃんと作品を支えられるスケール感も具えている。演技云々とは別のところで感心する。ベルも表情を崩さないままに、テイタムを好サポートしている。クリスチャン・ベール的な成長を見せている。

 ふたりの関係が対等に近づくラストシーンは、やっぱり「ジャンプ」。シリーズ化を見据えたセリフも飛び出す。良いコンビになりそうだけれど、対等の状態で話を進めるのは面白くない。微妙なニュアンスは残して欲しいと思う。





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