バンバン・クラブ 真実の戦場

バンバン・クラブ 真実の戦場 “The Bang Bang Club”

監督:スティーヴン・シルヴァー

出演:ライアン・フィリップ、マリン・アッカーマン、テイラー・キッチュ、
   フランク・ローテンバック、ニールス・ファン・ヤーレスヴェルト

評価:★★




 バンバン・クラブとは、命知らずの戦場カメラマングループにつけられた愛称だ。1990年代初頭、アパルトヘイト末期で内戦が激化する南アフリカ。そこで身体を張って生々しい写真を撮り続ける男たち。街中が殺し合いの場となり、死が今そこにある状況で、過酷な現実に果敢に立ち向かう。『バンバン・クラブ 真実の戦場』はそのメンバーによる手記の映画化になる。

 意表を突くのは、バンバン・クラブの仲間たち4人が仲良しこよしである点だ。どうやら彼らは、人間ならば誰もが抱えていて当然である、仕事に対しての俗な欲望を持っていない聖人らしい。互いの仕事を讃えることはあっても貶すようなことはない。それどころか的確なタイミングで上手なアシストを出し、その成功を自分のことのように喜ぶ器の持ち主ばかりだ。ここには愛憎なんて見当たらない。些細な嫉妬の匂いすらなく、ひたすら写真に賭けている。子どものように被写体にカメラを向ける男たち。まことに結構なことだけれど、そんな仲良しこよしの様ばかりを見せられて面白いだろうか。同じ現場に出かけることはあっても、基本は単独行動。チームプレイではないのに。

 戦場カメラマンの仕事が過酷であることは容易に想像できる。当然目を背けたい場面にも出くわすだろう。死を感じて足が動かなくなる場面だってあるはずだ。それが何度も続けば、心が病むことだってあるに違いない。世間一般がこの仕事に対して抱いているイメージがそのまま提示される。と言うか、それ自体が物語の軸になっている。信念を持った男たちが、いつしか現実の過酷さに打ちのめされ、心のバランスを崩す。戦場に行っていなくても理解できる(理解した気分になる)物語構造だ。

 何しろここは戦場、面白いネタは至るところに転がっている。実際、配信された写真を見て警察が介入してきたり、現地人に「政府のスパイ」だと罵られたり…もっと深く突っ込めば、それだけで一本の映画になりそうなエピソードは出てくるのだ。しかし作り手は、それに気づいていないのか、その表面を撫でるだけで得意気だ。

 中でも、一枚の写真が正義について論争を巻き起こす件は、もっと細部を克明にして欲しかった。ピュリッツァー賞に輝くほどの写真。飢えに苦しみうずくまる少女の背後にハゲワシが降り立つところを捉える。そのインパクトが賞賛されながら、しかしその少女に手が差し伸べられなかったことが論争を呼ぶ。写真の意義はどこにあるのか。カメラマンは現場でどこまで私情を注いで良いのか。写真を撮ることと命を救うことが天秤にかけられる厳しい状況に対する考察をもっと見たかった。

 仲間のひとりが良い写真の定義を聞かれる場面がある。彼はそれに「問題提起がなされていること」と答える。場合によっては、良い映画の定義にも同じことが言えるだろう。果たしてこの映画は、その定義を満たしているだろうか。問題提起がなされているというよりも、バンバン・クラブの結束力ばかりが浮上する。

 なお、話はライアン・フィリップが新しく仲間に入るところから始まる。つまりフィリップはひよっこの役だ。依然この手の役柄が似合ってしまうフィリップ。10年前と比べると、ふっくらはしても貫禄はつかないのだった。いや、そこが良いところなのだけど…。





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