モリエール 恋こそ喜劇

モリエール 恋こそ喜劇 “Molière”

監督:ロラン・ティラール

出演:ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ、ラウラ・モランテ、
   リュディヴィーヌ・サニエ、エドゥアール・ベール、ファニー・ヴァレット、
   ゴンザーク・モンテュエル、ジリアン・ペトロフスキー

評価:★★★




 モリエールについては17世紀フランスの劇作家ということぐらいしか知らない。彼を主人公にした『モリエール 恋こそ喜劇』はしかし、堅苦しい伝記映画になってないのが有難い。モリエールには若い頃、文学史上空白の数カ月間があるらしく、その時期に何が起こったのかを自由に描き出している。この映画では作品に影響を与えるほどの恋に落ちていたという解釈がなされている。ありがちとも言えるけれど、小難しく語られるよりはよっぽど良い。

 歴史上の文化人を主人公に置いたフィクションというと、ジョン・マッデン監督の「恋におちたシェイクスピア」(98年)を思い出さずにはいられない。ウィリアム・シェイクスピアの恋がどんどん彼の作品にリンクしていくところが面白かった。最近だとジュリアン・ジャロルド監督の「ジェイン・オースティン 秘められた恋」(07年)にも同じ快感があった。『モリエール』ももしかしたら同じような仕掛けがしてあるのかもしれない。ただ、まことに申し訳ないことにモリエールの作品に関しての知識に乏しいため、そういうトリヴィアルな面白さを体感できないのが残念だ。

 とは言え、たかが恋に振り回される大人たちを眺める楽しみはたっぷり残されている。誰しもが恋の前には自分を見失い、平気で愚かな行為に走る。特に自分を良く見せたいがために自分のバカバカしさに気づかないあたりはいつの時代も変わらない。しかも彼らはフランス人だ。恋に落ちたらガンガン行く。アムールのために突っ走る、その楽しさが溢れている。

 この楽しさは演出どうこうというよりは、役者の力によるところが大きいだろう。ロマン・デュリスがまたもやハンサムな顔を隠してモリエールを快演。真っ青な空に広がっていくように伸び伸びとした演技で、眺めているだけで大変気持ちが良い。色々な馬になりきる場面など型にハマらない面白さだ。ファブリス・ルキーニの惚けた金持ち商人役も絶妙のセン。ラウラ・モランテが妙に色っぽいあたりも見ものになっている。

 それから物語の隠し味になっているのが、悲劇と喜劇に関する考察だ。モリエールは得意とする喜劇では尊敬されないと敬遠しているのだけれど、恋に落ちたマダムが彼に喜劇の素晴らしさを説いていく(そしてそれが作品の構成と重なっていく)。喜劇こそ本当に難しい芸術だと考えている者からすると、これだけで喝采を贈りたくなる。かくしてモリエールは「魂を追求する喜劇」を目指す。彼が自尊心というバリアを解いて羽ばたいていくところが爽快と言えよう。





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