フットルース 夢に向かって

フットルース 夢に向かって “Footloose”

監督:クレイグ・ブリュワー

出演:ケニー・ウォーマルド、ジュリアン・ハフ、デニス・クエイド、
   アンディ・マクドウェル、マイルズ・テラー、ザイア・コロン、
   レイ・マッキノン、パトリック・ジョン・フリューガー、キム・ディケンズ

評価:★★★




 80年代を代表する青春ダンス映画と言ったら「フラッシュダンス」(83年)か「フットルース」(84年)になるのだろうか。肝心のダンスが思い切りスタントによる吹き替えで、矢継早のカット割りにより気分を煽っていただけの前者には白けたけれど、後者はそこそこ楽しんだ。ケヴィン・ベーコンの出世作であることを思うと、余計に貴重に思える。『フットルース 夢に向かって』はそのリメイクとなる。

 時代は21世紀だ。おそらくリメイクというより、21世紀ヴァージョンを作るというのが、意識としてあったのではないか。ところが、これがどうも21世紀の話に見えない。iPodや携帯電話は出てくるし、衣装にも80年代テイストは感じられない。映像も80年代の色を植えつけようだなんて、さらさら思っていない。それなのに80年代っぽいのは、「ダンス禁止の田舎町」という舞台設定の古臭さ、そしてケニー・ロギンスによるあのテーマ曲が冒頭で流れるのが大きいのではないか。今や映画もテーマ曲も、80年代の象徴なのだ。それを吹き飛ばして新しい匂いを植えつけるのは予想以上に難しい。

 ただし、80年代の匂いが吹き飛ぶ場面がある。それがダンス場面というのが嬉しいじゃないか。懐かしのあのステップはもちろん出てくるけれど、それだけでは終わらない。ヒップホップが入り込んできたり、ブレイクダンスが前面に出たり、そもそもダンスの技術が格段に進歩している。若者が全身を使って自分を表現する、普遍的なものだ。でも、時代が変わればダンスも変わる。ダンスを魅せるという演出に集中している分、そこだけはしっかり21世紀だ。

 主人公の青年を演じるケニー・ウォーマルドはジャスティン・ティンバーレイクのバックダンサーや振付師として活躍している人物ということで、さすがに身体にキレがある。顔の筋肉の動きが硬くてパーツが中央に寄っているのが気にならなくもないものの、音楽が流れ出せば、すぐさま自分の世界を創り上げる。人気のない工場でたった一人、踊ることで自分を魅せる場面は大いに見もの。役者の身体が実際に動く、その痛快さは侮れない。ヒロインのジュリアン・ハフも楽しげにダンスをこなして、好印象だ。

 物語はオリジナルそのままだ。そして、健全な精神もしっかり受け継いでいる。とりわけ主人公の人物造形の健全性には、今の時代には苦笑してしまうほどだ。ダンス禁止条例が気に入らない彼は、廃止を願う署名という紳士的な方法を選ぶ。条例発案者には署名を集める前に挨拶。図書館で資料集めと勉強。スピーチの練習も怠らない。時折哀川翔に見えるウォーマルドなのに、プライヴェートも意外に真面目。ダンスの苦手が友人を嫌な顔せず指導。アルバイトもしっかりこなす。意中の女の子をダンスに誘うときには親の許可も忘れない。その女の子を押し倒してもおかしくない場面でも、理性を保ってキス止まり。ちょいと突っ張って見せても、良い子なのだ。

 要するに捻りのない、お行儀の良い映画だ。けれど、そこから沸き上がるエネルギーは尊いものだと信じさせてくれる。真っ直ぐな心は強い。一から創り上げる喜びに勝るものはない。青春には恥ずかしいこともたくさんあるけれど、でも恥なんてかいた者勝ちだ。自分たちがティーンエイジャーだったことを忘れた大人たちが、その事実を思い出す。ここに溢れるエネルギーにはそういう力が、確かにある。映画は若さにエールを贈る。一度きりの青春の眩しさを信じている。





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