ロストガール

ロストガール “Welcome to the Rileys”

監督:ジェイク・スコット

出演:ジェームズ・ガンドルフィーニ、クリステン・スチュワート、
   メリッサ・レオ、ジョー・クレスト、アリー・シーディ、
   ティファニー・コティ、エイサ・デイヴィス、ランス・E・ニコルス

評価:★★




 世の中には喪失感が溢れている。誰もが誰かを亡くし、嘆き、絶望し、打ちのめされ、しかしそこから何とか這い上がる。亡くした人がいなくても、心が言いようのない虚無感に支配されることも少なくない。それでもそこを踏ん張り通す。それを繰り返す。人生で避けては通れない。喪失と再生がテーマになった映画が多いのも致し方ないことかもしれない。

 だけれどしかし、映画で喪失と再生を取り上げるならば、見せ方に独自性を持たせるべきだ。世の中に溢れているのなら、どうしても似通ったものになるのもまた、当然のことだからだ。『ロストガール』はそれを怠る。15歳の一人娘を亡くした夫婦の物語が、丁寧には違いないものの、驚きなく、無個性に紡ぎ出されていく。喪失感に正直であることは間違いない。再生にも正直に向き合っている。でも、正直は正直でも、バカ正直だ。褒めてはいない。

 例えば夫は、普段は冷静さを保っているけれど、時折どうしようもない哀しみに包まれむせび泣く。誰もが経験するだろうそれが、そのままに映し出される。その彼が亡くした娘と同じ年頃のストリッパーに出会い、彼女の中に娘の姿を見つけ、更生させようとするというのもまた、これまでに何度も語られてきた展開だ。彼は娘にしてあげられなかったこと、教えられなかったことを、世間知らずの少女に伝えていく。つまり、この映画は分かりやすい。人の心を腫物を触るように掬い取るあまり、喪失と再生の物語の箱の中にすっぽり入り込んでいる。想像通りのエピソードが感じるものを奪っていく。

 そうすると、話よりも心に残るのはストリッパーの少女の描写ということになる。演じるのはクリステン・スチュワートだ。いつも通り不機嫌に、退屈そうに、そしてさらに今回は言葉汚く迫る。ちょいとヤンキーが入っている。スチュワートが夫を演じるジェームズ・ガンドルフィーニを手こずらせる様が可笑しい。普通ならガンドルフィーニがスチュワートを手籠めにしてもおかしくないだろうに。

 尤も、さり気ない巧さは、妻役のメリッサ・レオが持っていく。喪失感から家から一歩も出られなかった妻が、勇気を振り絞り外の世界に踏み出していく様を、非常に繊細に演じている。最近彼女が見せてきた表情とは、まるで違う。たいした女優だ。

 ちょっと良い話風にまとめているのは物足りないところだ。衝突からバラバラになった夫婦と少女に、結局優しい言葉がかけられる。再生がここから始まるのだと手を握られる。再生には困難がつきものであることが忘れ去られる。ストリッパーなのに脱がないスチュワート並に、もやもやしたものが残る。落としどころもまた、予想通りということ。まだエロティシズムが匂い立たないスチュワートを脱がせられないのは仕方がないにしても、もっと心の水を波立たせても良かったのではないかと思う。





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