天才画家ダリ 愛と激情の青春

天才画家ダリ 愛と激情の青春 “Little Ashes”

監督:ポール・モリソン

出演:ハヴィエル・ベルトラン、ロバート・パティンソン、
   マシュー・マクナルティ、マリーナ・ガテル、ブルーノ・オロ、
   エスター・ヌビオラ、アーリー・ジョヴァー

評価:★★




 エンドクレジット直前の説明によると、サルヴァドール・ダリが死の直前に告白した内容に着想を得ているという。舞台は1922年のスペイン、マドリードから始まる。ここには後に芸術の分野で名を馳せる若き才能が集まる。画家のダリ、詩人・劇作家のフェデリコ・ガルシーア・ロルカ、映画監督のルイス・ブニュエルだ。まだ、成熟していない才能が衝突したとき、何が起こるのか。才能と言っても、人よりちょっと優れているというのではないのだ。ダリが、ロルカが、ブニュエルが、その出会いにより得たものを、創作活動にどう反映させていくのか。

 ところが、作り手はそのあたりにはちっとも興味がなかったらしい。彼らは最初から、それぞれに才能のある若者として登場し、互いのエゴを主張し、傷だらけの青春を送る。当然のことながら、恋もする。ただ、それが同性愛となると過剰に人の目を引くものらしい。作り手もそのあたりを大々的に取り上げる。と言うか、ほとんどそれしか取り上げない。それが問題だ。

 実在の人物を撮るのであれば、それが彼らでなければならない理由を疎かにすることは許されない。政治家を取り上げるなら政治を抜きに語るのは意味がないし、ミュージシャンを真ん中に置くのなら音楽と切り離すのは愚かというものだ。そしてダリやロルカ、ブニュエルならば、畑の違う彼らがどう才能を刺激し合ったのかを見せなければ、嘘だろう。何しろここにはシュルレアリスムという重要なキーワードが横たわっているのだから。

 それでもさすがにラヴシーンには力が入っている。ロルカとダリが唇を合わせる場面が何度か出てくる。作り手も鼻息を荒くして撮っていることが分かる。とりわけ、青白い月の下、海の中で戯れるシーンが強く心に残る。若い命が別の命を求め合う熱が伝わってくる。

 ところが、これだけ熱心に相手を求めながら、ダリは最後の一線を越えるのを拒むのだ。そりゃないよダリ。かくしてロルカは好き合っているはずなのに全てを手に入れられない、もんもんとした苦悩に苦しめられるのだ。やおい好きの皆さんには喜んでもらえるのかもしれない。個人的には、結局ストレートに見えるダリよりも、実は隠れゲイであることを隠しているようにしか見えないブニュエルの方が面白かったけれど…。「アンダルシアの犬」(28年)絡みの件には苦笑い。

 物語の平坦さが目立つゆえ、余計に浮き上がるのはダリのぶっとんだ容姿や行動だ。数々の奇行で知られるダリらしく、ロバート・パティンソンも思い切ったアクションを見せている。目を大きくひん剥いたり、おなじみの髭にヴァリエーションをつけたり…奇人・変人的な要素が加速度をつけていく。しかし…どうしても失笑してしまう。いや、懸命なパティンソンに対して失礼なことなのだけど、それもこれも演出が明後日な方向に向かっているがゆえ。恨むなら監督を恨むが良い。邦題が『天才画家ダリ 愛と激情の青春』という、あたかもダリが主人公のような頓珍漢なものになったのも仕方がないのかもしれない。





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