ギャラリー

ギャラリー “Boogie Woogie”

監督:ダンカン・ウォード

出演:ジリアン・アンダーソン、アラン・カミング、ヘザー・グラハム、
   ダニー・ヒューストン、ジャック・ヒューストン、クリストファー・リー、
   ジョアンナ・ラムレイ、サイモン・マクバーニー、アマンダ・セイフライド、
   シャーロット・ランプリング、ステラン・スカルスガルド

評価:★★




 ロンドンの芸術界周辺に生きる人々を取り上げている。群像劇というスタイルが採られているので、どうしてもロバート・アルトマン監督の「プレタポルテ」(94年)を連想してしまうのだけど、着眼点は大分異なると考えて良い。「プレタポルテ」はファッション、『ギャラリー』は絵画やビデオアート…という違いはもちろんある。しかし、最も大きな違いは芸術への視線だろう。ある人気アーティストが陶酔に耽りながら、こんなことを言う。「何が見えて、何が見えないか。境界を曖昧にしたいんだ」。何が何だかさっぱり意味が分からぬ。そういうことだ。

 原題にもなっているピエト・モンドリアンの絵画がモチーフとして出てくるものの、芸術そのものに対する考察には目もくれない。代わりに滑り込まされるのは、俗っぽい人間の欲望だ。登場人物の大半は芸術なんて、語らない。理解もしていないだろう。その分、欲望を剥き出しにする。金。セックス。ドラッグ。仕事。権力。野心。美術商、芸術家、コレクター、遊びでアートに足を突っ込んでいる人々等…彼らの自分本位な姿に、人間の本性を見る。そしてそれを、笑い飛ばしている。

 やりたいことは理解できるのだけれど、もうひとつ腹に来ないのは、それぞれの言動が薄っぺらに見えるためだ。そして、人物の交錯のさせ方に工夫がないせいだ。出てくる人間は多くて、その思惑は複雑に絡み合っているものの、ぐちゃぐちゃになっているだけで、そこから新たな問題が発展していくということがない。誰が誰を出し抜こうとして、誰が誰を蹴落とそうとして、誰と誰が寝ようとしているのか。適当にくっつけているだけにしか見えないのが苦しいところ。肉体関係だけ取り出せば、傍らにいる人と手当たり次第に寝る者ばかり出てくるTVシリーズ「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」(05年~)みたいだ。

 多分、あまりに芸術を無視し過ぎているのだろう。描かれることはどこの世界でもあり得ることで、芸術界ならではのアイロニーだとかエロティシズムだとかパワーゲームだとかが浮かび上がらない。すると、彼らが底の浅いままに泣き笑いする様ばかりが強調される。

 富豪カップルの離婚。信頼と裏切り。理解し難いアート。生と死。突飛な人間性が暴走する。終幕になってようやくエンジンがかかる。しかし、時既に遅し。映画という芸術を通して見る芸術に対する考察に厚みはない。

 演技的に最も面白いのはダニー・ヒューストン。金儲けしか頭にない欲の塊のような人間を楽しげに演じている。いつもハイネックを着ているのが可笑しい。ヒューストンとステラン・スカルスガルドが並んだ絵の奇怪さは、かなりのものだ。

 眺めが良いのはヘザー・グラハムとアマンダ・セイフライドだ。独立を企むグラハムのベイビーフェイス。セイフライドの若さ溢れる太腿。どちらも溌剌としている。彼らの欲望には鬱陶しさがない。風通しの良さが武器になっている。 





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