パッション・プレイ

パッション・プレイ “Passion Play”

監督:ミッチ・グレイザー

出演:ミッキー・ローク、ミーガン・フォックス、ビル・マーレイ、
   リス・エヴァンス、ケリー・リンチ、クリス・ブラウニング、
   マーク・シヴァートセン、ロリー・コクレイン

評価:★




 一見ダーレン・アロノフスキー監督の「レスラー」(08年)の姉妹編のように思える。ミッキー・ロークが人生の敗北者的男を演じているからだ。ロークの直しの入り過ぎたぼこぼこ顔は、確かに今、こういう役柄に似合うのかもしれない。しかし、結局のところ、「レスラー」と『パッション・プレイ』は全くの別物だ。演じる役柄に通じるものがあっても、その魅せ方にあまりに落差がある。

 「レスラー」が男の覚悟を魅力的に描いていたのに対し、『パッション・プレイ』はひたすら自己陶酔の世界に入っている。散りばめられたアイテムはロマンティックなものばかりだ。トランペット奏者。妖しいサーカス。翼の生えた美女。非情なギャング。オペラハウス。手を差し伸べる熟女。ロマンティックでも、安っぽいのが特徴だ。安っぽいままに陶酔の世界を飾り立てる。

 ロークも「レスラー」に主演したことで、「落ちぶれ方がカッコイイ俺」に気づいてしまったらしい。ボロボロになりながら美女に溺れる自分に酔い、命を投げ出して女を守ろうとする自分に酔い、妻を亡くした過去を語る自分に酔い…しかし、そんな俺ってカッコイイだろ?…と語りかける。この陶酔の徹底ぶりは、「ナインハーフ」(85年)「ホームボーイ」(88年)の頃のローク映画を連想させる。「レスラー」を作り、もしかして役者としての輪が一周してしまったのだろうか。

 つまりロークはずっと自分に酔っているわけで、それを延々魅せるのがこの映画というわけだ。銃弾は放たれてもアクションはない。危機的状況に陥ってもサスペンスはない。意味ありげに人物が登場してもドラマはない。男と女が愛を確かめ合っても本物のロマンスはない。陶酔に本気になっても笑いには走らない。

 いや、笑いには走らないものの、笑える場面はてんこ盛りだ。ミーガン・フォックスが空に浮かぶ場面はワイヤーで吊られていることが丸分かり。雄大な自然が背景にある場面は合成であると一目で分かる。夜だったのが一秒後に昼になってもお構いなし。ロークはトランペットを吹いていないのが一目瞭然で、しかしフォックスはロークに、「バカね。完璧過ぎるわ。素敵な夜ね」と感激を隠さない。最も笑撃的なのは、ラストシーンだ。屋上に追い詰められたロークとフォックスが、「まさかそんなベタに?」と突っ込まずにはいられない方法で、その場を切り抜ける。その後に待つ大オチも含めて、笑いを堪えるのは至難の業だ。

 映像は無意味に綺麗だ。大御所クリストファー・ドイルが撮影を担当しているのだけど、雰囲気としてはヴィム・ヴェンダース映画が近い。もちろんそれは全く力になっていない。陶酔の画を強調するだけなのが、もはや可笑しい。

 可笑しくないのは、フォックスがエロティックに撮られていなかったところ。せっかくオヤジ殺し本領発揮の役柄なのに、薄着になっても全然いやらしくない。目も唇も太腿も、なんてもったいない撮り方をするのか。やっぱりこれはロークの陶酔映画なのだ。





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