TIME タイム

TIME タイム “In Time”

監督:アンドリュー・ニコル

出演:ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライド、
   アレックス・ペティファー、キリアン・マーフィ、
   ヴィンセント・カーシーザー、マット・ボマー、オリヴィア・ワイルド、
   ジョニー・ガレッキ、コリンズ・ペニー、ベラ・ヒースコート

評価:★★




 大胆不敵なアイデアが投入される。人間の外見が25歳で止まってしまう近未来が舞台。そこでは「時間」が「貨幣」の代わりとなる。25年以上を生きるには働くことで時間を手に入れなければならない。これだけの大風呂敷だ。その細部を緻密に描き出す更なるアイデアが必要になる。

 どうやらアンドリュー・ニコル監督は、この舞台を描き出すことで精一杯だったようだ。裕福層と貧困層が住む地区を分けて究極の格差社会を浮かび上がらせる。そこまでは何とかできたものの、『TIME タイム』はSFとしてもスリラーとしても物語がまるで弾まない。貧困地区に住む主人公が裕福地区に乗り込むものの、何しに行ったのかがさっぱり理解できないところが作品を象徴している。行き先が見えない。気がつけば追われる身となっていた主人公はしかし、逃げる以外にすることがなく、したがってタイムリミットのある追いかけっこをしているだけに過ぎなくなる。

 各登場人物に割り当てられた役割も曖昧に処理される。主人公は足が早い以外の力を見せない。ヒロインはロマンスの相手以上のものがない。時間監視局の人間の過去を思わせぶりに匂わせながら、その葛藤は無視される。貧困地区のギャングは知恵が足りないままに暴れるばかり。友人・知人も顔見せで終わりだ。そもそもこのイカれた世界を誰が仕切っているのだろう。サスペンスが盛り上がらないのも仕方がない。

 ただ、主役カップルの活きが良いので、退屈とは無縁だ。ジャスティン・ティンバーレイクで改めて思うのは、今ハリウッドでボーズが最も似合うスターだということだ。無駄な肉のない長身の上に乗っかったオシャレボーズが、大変爽やか。無精ヒゲが生えっぱなしだというのに、暑苦しさとは無縁。ボーズの毛穴から、何か甘い匂いでも漂っているみたいだ。身体の動きも美しく、このあたりは音楽シーンで鍛えたダンスがモノを言っているのだろうか。

 アマンダ・セイフライドもこの特殊な世界の住人として溶け込んでいる。漫画のように大きな目、バービードールのように細く長い手足もさることながら、ここでは赤毛のボブカットが利いている。ブルーの瞳とのバランスがミステリアスで、まるでアンドロイドのような趣もある。生活感を完全に消し去ったのがお手柄だ(もちろん徐々に人間的になっていく)。全編をミニドレスで通したのも偉い。ハイヒールで走るのも偉い。

 見せ場となるような独創的な場面はないものの、ティンバーレイクとセイフライドのいちゃこき場面は次々出てくる。海で素っ裸で泳ぐ。後ろから抱きつかれた状態での銃訓練。ベッドの上で近づき過ぎのストリップポーカー。逃げる場面になると必ず手を繋いで走るのも徹底している。「俺たちに明日はない」(67年)を思わせる場面も出てきて、このあたりはごっこ遊びに興じているみたいだ。幼いと斬り捨てられてもおかしくないところだけれど、可愛いカップルだから許される。

 出てくる人間は外見が25歳の者ばかりだ。その画が醸し出す違和感が面白い。若者だけの世界というものは、こんなにも異質なものなのかと再確認する。ただ、それに飽きてしまうのが早かった。画面にメリハリというものが感じられず、その単調さが強調されていくのだ。若者しかいない奇妙さを持続させる工夫が必要だろう。終いにはママゴトでも見ているような気分になってしまった。





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