スリーピング ビューティー/禁断の悦び

スリーピング ビューティー/禁断の悦び “Sleeping Beauty”

監督:ジュリア・リー

出演:エミリー・ブラウニング、レイチェル・ブレイク、ユエン・レスリー、
   ピーター・キャロル、クリス・ヘイウッド、ヒュー・キース・バーン

評価:★★




 今ではトンと聞かなくなった苦学生が主人公だ。ありとあらゆる仕事を手掛けているものの、金は全然貯まらない。そんなある日彼女は、自給250ドルという高額アルバイトを見つける。それは高級シルヴァーサーヴィスで、ただ裸のまま睡眠薬を飲んで眠るというもの。なんだかやけに昭和の匂いのする展開だけれど、それもそのはず、『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』は川端康成の「眠れる美女」をベースにしているのだった。

 製作にジェーン・カンピオンが関わっていることからも察せられるけれど、目指したのは官能というやつだろう。大人への変身を間もなく完成させようときの若い女の身体から発せられる官能を切り取る。原作は老人目線の話だったけれど、ここでは女目線の話。その無邪気さにも似た好奇心を味つけに、無防備な肉体の放つエロスを炙り出す。

 実際、エミリー・ブラウニングはかなり大胆な演技を見せている。幼い顔。小ぶりの胸。半開きの口。真っ白な肌は陶器のような滑らかさだ。チョウへと変態しようとする直前のサナギの危うさを、ブラウニングが体現する。全裸場面は美しいけれど、それよりもその太腿が印象的に撮られている。彼女は必ず膝上スカートを履いていて、常に太腿が露わになっている。もう少し上に行くと何があるのだろう。想像力を掻き立てる。肉体そのものの力。

 ブラウニング以外の女たちは女王様風に演出されているので、ブラウニングの愛らしさが際立っている。彼女たちは普段からあからさまに胸を見せている。衣装も分かりやすく黒で統一されている。それに比べると、ブラウニングはおとなしい。肌の色と合わせるかのように淡い色で、露出も抑え気味。しかし、見えそうで見えないギリギリの線がかえっていやらしい。乳首付近のきわどさなど、完全に狙っている。 

 …というように、これはもう、官能の質が完全にオヤジ的発想だ。しかし、それは狙いとは別物なのではないか。おそらく作り手は、ここに退廃的な色を焼きつけたかったはずだ。ほとんど動かないカメラ。鳴らない音楽。無機質な美術。削ぎ落とされたセリフ。全ては趣味の良い、品のある文学的官能のためだ。しかし、川端が作り出した環境が強力過ぎたのか、オヤジの夢を映像化した程度のそれしか漂ってこないのだ。何と言うか、それこそ個室でVIDEO鑑賞するのが最適であるような、精液臭の強い画面。ご丁寧に、老人たちの身体は醜悪に提示される。

 文学とは時に都合良く解釈されるものだ。その世界の奥底に入り込み、潜り込み、深淵を探り、新しい光を得て…しかし、そこから抜け出したとき、それは本人にしか理解できないものになっている。自慰行為に似ているとも思う。文学を読み込むのは難しい。





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