ペントハウス

ペントハウス “Tower Heist”

監督:ブレット・ラトナー

出演:ベン・スティラー、エディ・マーフィ、ケイシー・アフレック、
   アラン・アルダ、マシュー・ブロデリック、、マイケル・ペーニャ、
   ティア・レオーニ、ガボーレイ・シディベ、ジャド・ハーシュ

評価:★★★




 馬鹿と煙は高いところが好きとよく言うけれど、ついでに悪党も仲間に入れても良いかもしれない。『ペントハウス』には65階建ての超高層マンション、“ザ・タワー”が出てくる。マンハッタンでセントラルパークを見下ろすこのマンションの最上階に住むのが、金融界の大物であり、映画の悪党だ。人々を上から眺めて笑っているあたり、馬鹿に通じるものがあるとも言える。ところが、この馬鹿だか悪党だかを信用して年金の運用を任せてしまう馬鹿もいる。それこそが主人公ベン・スティラーとその仲間たちだ。ただし、こちらは馬鹿は馬鹿でも愛すべき馬鹿。愛すべき馬鹿たちは、悪党が投資に失敗したことで(しかも詐欺で逮捕されたことで)、金を失ってしまう。オー・マイ・ゴッド!

 かくしてスティラーと仲間たちが、悪党がマンションの最上階に隠し持っているだろう大金を頂戴する計画を立てる。話は彼方此方に転がっているものだし、「オーシャンズ」シリーズを思わせるところもある。新味はないかもしれない。ただ、この映画のいちばんの見所は作戦の奇抜さでも個性的な面々によるチームプレイでもなく、俳優の魅力にある。マイケル・ペーニャやケイシー・アフレックが顔を見せるのも嬉しいけれど、それよりも誰もよりもエディ・マーフィが久しぶりに快調なのがご機嫌な気分を誘う。ここでのマーフィはデブにならない。女にもならない。ロバにもならない。子どもと戯れることもない。代わりに喋る、喋る、喋る。

 そう、マーフィが80年代絶頂期のようにマシンガントークで攻めまくる。甲高い声でも、煩く喚き散らしても、それよりも可笑しさが先に立つ。仲間の度胸を調べるために、モールで50ドル相当の品物を万引きしてくるよう言い放つ場面が笑える。口は達者でも結局は小物という設定も出番が抑えられているのも、プラスに働いている。マーフィが出てくると画面のスピードが上がる。これは映画ならではの快感だ。

 ブレット・ラトナーはスティラーとマーフィを起用しながら、意外なほど真面目に問題に取り組んでいる。それこそ話の着想が、未曾有の金融危機により露になった金持ちばかりが得をする社会構造、格差社会にあるのではないかと思わせるくらいに。ネクタイでも締めて監督していたのではないかと思う場面もある。

 別にそういう姿勢が悪いわけではないものの、ただ、この映画にそういう硬い思考は似合わないのではないか。もっとフザけて遊んでも良かったのではないか。いよいよマンションに潜り込む件など、本気でサスペンスを取りに来ている。笑いを犠牲にしてまで。でもそうすると、脚本の穴や温さが気になってしまうのだ。小市民がゲーム感覚で金で遊ぶ裕福な層に一撃を喰らわせる、その可笑しさの追求に専念すべきだったろう。

 ちょっと感心したのは、金の隠し場所とマンションの屋上にあるプールのデザインだ。特にプールのデザインは素晴らしい。長方形の底がそのまま、巨大な紙幣になっているのだ。つまり悪党は金を見ながら泳ぐ。何という悪趣味。嬉しくなっちゃう。





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