BEST10 & WORST10 2011 Vol.3

◆BEST ACTOR
 ヘンリー・カヴィル(インモータルズ 神々の戦い)
 マイケル・ダグラス(ソリタリー・マン)
 マイケル・ファスベンダー(X-MEN:ファースト・ジェネレーション)
★ジョセフ・ゴードン=レヴィット(50/50 フィフティ・フィフティ)
 ジョン・クラシンスキー(お家をさがそう)

 ゴードン=レヴィットの唯一無二の個性が役柄に完全にフィット。押しつけがましさがなく、かと言って生きる匂いがないわけではない。他の誰にも代えられない味には抗えない。カヴィルは美しい肉体で、ダグラスはすっとぼけた老いで、ファスベンダーは哀しみと怒りを湛えた眼光で、クラシンスキーは包み込む温もりで勝負。いずれも作品に柔らかに溶け込んでいた。


◆BEST ACTRESS
 ミラ・クニス(ステイ・フレンズ)
 キャリー・マリガン(わたしを離さないで)
★ナタリー・ポートマン(ブラック・スワン)
 マヤ・ルドルフ(お家をさがそう)
 ティルダ・スウィントン(ミラノ、愛に生きる)

 スターが生まれる瞬間を目撃するのは映画ファンの歓びだが、それと並ぶ醍醐味はスターが生まれ変わる瞬間を目撃するときにある。ポートマンは役柄と同じように鮮やかな変態を完成させた。自身の暗黒面を露にすることで次の段階へ駒を進めた。スウィントンの美しさは唯一の対抗馬。クニスやマリガン、ルドルフは生まれ変わるところまでは行っていない。一枚の皮を脱ぎ捨てた段階か。


◆BEST SUPPORTING ACTOR
★ライアン・ゴズリング(ラブ・アゲイン)
 ドウェイン・ジョンソン(ワイルド・スピード MEGA MAX)
 ジェフリー・ラッシュ(英国王のスピーチ)
 ケヴィン・スペイシー(モンスター上司)
 マーク・ウォルバーグ(アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!)

 助演演技のお手本のような巧さを見せたラッシュやスペイシーはさすがだし、シリーズを再点火させたジョンソンの愛敬や怒りっぱなしの中にユーモアを注ぎ込んだウォルバーグも貴重だ。ただ、ゴズリングの喜劇センスの開花はその上を行く嬉しさがあった。大凡本人の資質とは異なるプレイボーイ役で画面を大いに活気づかせていた。若い才能の爆発力は、それだけで気分を盛り上げる。


◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 ジェニファー・アニストン(モンスター上司)
 レベッカ・ホール(ザ・タウン)
 ミラ・クニス(ブラック・スワン)
 ヴァネッサ・レッドグレーヴ(ジュリエットからの手紙)
★オリヴィア・ウィリアムス(ゴーストライター)

 歳を重ねるに連れて魅力を増していく女優がいる。輝きをまとう女優がいる。渋くてもコクを感じさせる女優がいる。ウィリアムスはまさにそういうタイプだ。疲れた顔に苦味が宿り、作品の鍵を握る役柄にこれ以上ない奥行きを与えた。吹っ切れたアニストン、色っぽさを見せたホール、主演女優の演技に呑まれなかったクニス、さすがヴェテランの味で引き締めたレッドグレーヴも見事。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
★アーミー・ハマー(ソーシャル・ネットワーク)
 ヘンリー・ホッパー(永遠の僕たち)
 クリス・プラット(マネーボール)

 ハマーは大きい。とても背が高い。最近のスターの中では珍しい長身だ。しかし重要なのはスクリーン映えするスケール感を具えているところだろう。重たさを感じさせず、スクリーンを軽快に、そしてキラキラと突っ切っていく。惜しむらくはデヴィッド・フィンチャーのトリッキーな演出が、彼を画面に馴染ませるのを拒否するところ。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 ジェシカ・チャステイン(ツリー・オブ・ライフ)
 エル・ファニング(SUPER 8/スーパーエイト)
★ヘイリー・スタインフェルド(トゥルー・グリット)

 コーエン兄弟が目をつけるのだから、スタインフェルドはタダモノではない。ジェフ・ブリッジスやマット・デイモン相手に臆することのない力強い眼差し。まだ何色にも染まっていない透明感がありながら、「自分」というものを確かに感じさせる。これからどう成長していくのか、大いに気になる新人だ。


2011年BEST10をふりかえって

1. ブラック・スワン
2. ゴーストライター
3. 50/50 フィフティ・フィフティ
4. トゥルー・グリット
5. ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル
6. ミラノ、愛に生きる
7. アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!
8. ラブ・アゲイン
9. アンストッパブル
10. モンスター上司

 2011年3月11日を忘れない。震災関連のニュースに誰もが気分が沈みがちだったに違いない。被災者でなくても、意識はしていなくても、地震のことが頭から離れない。そういう一年だった。そうして自分が何を欲しているのかに気づいた。

 「笑い」だ。コメディ映画に強烈に惹かれていることに気づく。どんなジャンルでも束の間の異空間に連れ出してくれるものだけれど、とりわけコメディの世界に迷い込みたいと身体が欲していることを痛感した。

 BEST10に入れた作品はどれもユーモアが優れていた。バカバカしい笑いもある。知的な笑いもある。ロマンスやアクションが絡んだ笑いもある。笑いの水が身体を満たしていく快感。

 昨今は悲劇的な出来事で泣かせることを感動させることだと勘違いした風潮が目立つけれど、人の心を掴む力は笑いにあるのではないかと思う。






◆WORST ACTOR
 オーランド・ブルーム(シンパシー・オブ・デリシャス)
 ロバート・デ・ニーロ(ニューイヤーズ・イブ)
 ハリソン・フォード(カウボーイ&エイリアン)
 アル・パチーノ(陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル)
★ライアン・レイノルズ(グリーン・ホーネット)

 いかに力のあるスターでも老いには勝てないということなのだろうか。デ・ニーロやパチーノは最近、過去の演技のパロディに終始した小遣い稼ぎ的パフォーマンスしか見せないのが心底寂しい。フォードのそれでもアクションにこだわる執念はある意味立派だが…。ブルームはミュージシャン役が全く板につかず、レイノルズは極めてマヌケなヒーローを創り出してしまった。


◆WORST ACTRESS
 アネット・ベニング(キッズ・オールライト)
 ジュリエット・ビノシュ(トスカーナの贋作)
 ダコタ・ファニング(ランナウェイズ)
★ロージー・ハンティントン=ホワイトリー(トランスフォーマー ダークサイド・ムーン)
 ジェニファー・ローレンス(X-MEN:ファースト・ジェネレーション)

 『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』からシリーズのヒロインが交代。新しく投入されたハンティントン=ホワイトリーは退屈なマネキン女だった。演技力も表情もエロスもない、空虚なモデル女をスクリーンで崇めるのはイイ加減やめて欲しい。小技の連発がいやらしいベニング、役柄の図太さにリンクしたビノシュ、抜け切らない幼さが気色悪いファニング、ミスキャストのローレンスもガッカリ。


2011年WORST10をふりかえって

1. キッズ・オールライト
2. ツリー・オブ・ライフ
3. アンチクライスト
4. トスカーナの贋作
5. ブルーバレンタイン
6. 三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
7. SOMEWHERE
8. テンペスト
9. 私だけのハッピー・エンディング
10. ニューイヤーズ・イブ

 価値観は人それぞれ。100人いれば100通りの価値観が存在する。作り手はそれを承知した上で映画作りをするべきだと思う。

 何も観客に媚びたメッセージを送れと言っているのではない。自分の価値観を絶対的なものだと信じて、それを押し付けないで欲しいだけだ。

 母性を絶対的だと信じたり、自分を中心に置いた哲学に走ったり、過激な描写に必要以上の意義を見出したり…。

 観客の存在を無視した語りというのはバレるものだ。自分への過大な自信がそうさせるのだろうか。そしてそういう作品に限って「作家主義」を大々的に掲げている。この芸術を理解できないことこそどうかしていると、作品の裏でしたり顔でいる。万人に受け入れられるものが優れているとは思わないものの、独り善がりの道を行けばいいというものでもないとつくづく思う。






まとめ

 映画を観始めた頃からお世話になっていた名古屋名駅のゴールド/シルバー劇場が閉館した。設備を考えると仕方ないところもあるものの、やっぱり寂しい。

 ゴールド劇場で一番思い出深い映画は『クライング・ゲーム』(92年)だ。スター映画を好んで観ていた高校生の頃、面白いという評判を聞きつけ、その通り大変面白く観た作品。あの切ないラヴストーリーをゴールド劇場で観たことを一生忘れない。

 ゴールド/シルバー劇場、お疲れ様でした。

 最後に、2011年、楽しませてくれた映画にありがとう。





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