BEST10 & WORST10 2011 Vol.2

2011年 WORST10


1. キッズ・オールライト “The Kids Are All Right”
 監督:リサ・チョロデンコ
 出演:アネット・ベニング、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ

 「母性」に裏打ちされた結びつきを決して疑わない傲慢さが全て。カップルはこの特異な家族になることを選んだ。それに伴うリスクや障害も承知の上で。そして実際に問題が生じたとき、エゴイズムと紙一重のその選択が生み出した歪みに母性の力をぶつける。「こんな家族もいいでしょう?」。とんでもない。寛容のアピールの裏には偽善が厚い面の皮のまま蠢いている。


2. ツリー・オブ・ライフ “The Tree of Life”
 監督:テレンス・マリック
 出演:ブラッド・ピット、ジェシカ・チャステイン、ショーン・ペン

 BBCのドキュメンタリーもビックリの壮大なスケール。辿り着く先にあるのは「世俗」と「神の恩寵」という二元性。生命とは何かを問い掛けながら、そしてその起源を見つめながら、この世の無常が浮かび上がる。映像美の力を借りて豪快に突っ切るも、相当に強引な力技。もっともらしい解釈はできても、数日後には何も残らない哲学性。選ばれなかった者の虚しさが沁みる。


3. アンチクライスト “Antichrist”
 監督:ラース・フォン・トリアー
 出演:シャルロット・ゲンズブール、ウィレム・デフォー

 映像の向こう側に立つ映画作家は「これは芸術だ」と思い切り叫んでいるものの、それがちっとも熱となって伝わらない憂鬱が全編を支配。過激な表現に走れば走るほど、酷く冷静な気分になっていく自分に気づく。セックスと錯乱が繰り返される物語が、どんどんスプラッターの装飾を受けていくのに唖然。自慰行為とどこが違うのだろうと思わずにはいられない。


4. トスカーナの贋作 “Copie conforme”
 監督:アッバス・キアロスタミ
 出演:ジュリエット・ビノシュ、ウィリアム・シメル

 男と女が互いを「夫婦」という型にハメてトスカーナの美しい街の中で、愛を語り出す。重層的構造が持ち込まれたとしても、これは映画の惰性というものだ。織り込まれた「真実」と「偽り」が痙攣を引き起こす。掬い上げられるのは心の機微ではなく羞恥心を忘れた無神経。役者に「演技」をさせたのもキアロスタミらしからぬ愚行で、彼らが力を入れれば入れるほどに画面が凍りつく。


5. ブルーバレンタイン “Blue Valentine”
 監督:デレク・シアンフランス
 出演:ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムス

 男の寛容が女の中に少しずつ入り込んでいく過程が素晴らしい速度で描かれながら、それが突如、女の不寛容へと転換を見せるのに唖然。不寛容が偽りの悲劇のヒロインを生み出し、それゆえの不快さが物語に浸透していく。神経の末端をジリジリと焦がしながら、頭の中で展開されていく物語。本能的な匂いが薄らいでいき、ただ薄ら寒さだけが残る。愛の残骸に余韻が残らない。


6. 三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 “The Three Musketeers”
 監督:ポール・W・S・アンダーソン
 出演:ローラン・ラーマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、クリストフ・ヴァルツ、オーランド・ブルーム

 破廉恥なほどに3Dを意識した構図が満載。上から下から真横から、次々と登場する3Dショット。それが導くのはチープな画面。奥行きや立体感は出ても、それと引き換えに犠牲となるものがある。登場人物は簡単に相関図が書けるほどに記号化され、各々のセリフは空虚そのもの。あの「All for one, one for all」のキメゼリフも、あぁ、なんと軽いのだ。最大の罪は作り手の原作への無関心。


7. SOMEWHERE “Somewhere” 
 監督:ソフィア・コッポラ
 出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング

 コッポラが幼い日の記憶を呼び起こされ、「孤独」と「空虚」が破廉恥なまでに至るところに散りばめられる。けれどどこに現実味がある?金を湯水のように使う贅沢三昧の生活。主人公は物思いに耽る。「こんな毎日でも、やっぱり寂しいんだ。庶民と同じなんだ」。その庶民は当然のように思う。「虚しく感じる?当たり前だっちゅーの」。生きている気配すら感じさせない、がらんどうの物語。


8. テンペスト “The Tempest”
 監督:ジュリー・テイモア
 出演:ヘレン・ミレン、ラッセル・ブランド、リーヴ・カーニー、トム・コンティ

 空間設計や美術、カメラの動かし方、そして何よりセリフを舞台用にしか映し出せない演出に落胆。考え得るアイデアを次々投入、登場人物の思惑を隅々までセリフで説明、それをこってりと装飾するくどさに閉口。視覚効果や音楽の使い方も異様なまでの浮き上がり方。シェイクスピア劇を自由に語る、表現者としてのその喜びが完璧に裏目に出ている。


9. 私だけのハッピー・エンディング “A Little Bit of Heaven”
 監督:ニコール・カッセル
 出演:ケイト・ハドソン、ガエル・ガルシア・ベルナル、ウーピー・ゴールドバーグ

 当人たちだけが楽しいと思っている、独り善がりの笑いに装飾された物語の浅はかさ。下ネタに塗れ、デリカシーの欠片もない女を「ヴァイタリティがある」と言い包める作法に辟易する。今までの私は弱さを見せることができなかった。でも今はそんな自分を受け入れるわ。恋ってなんて素晴らしいのかしら。人生はこんなに輝いてるわ。さすが無神経は思考が図太い。傲慢は不敵だ。


10. ニューイヤーズ・イブ “New Year's Eve”
 監督:ゲイリー・マーシャル
 出演:ハル・ベリー、ジェシカ・ビール、ジョン・ヴォン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン

 映画で語るほどではない悩みの数々、血縁関係だとか友人関係だとか以上のものが一切見当たらない繋がり、愛を大安売りすることで煽られる快感…映画を形作る要素のイチイチを、ここまでテキトーにできることに心底驚く。アメリカ的バカバカしさは別に構わないが、そこに映画の芸が入らないと単なる見世物ショウにしかならないことに気づくべきだ。大スターたちが哀れ。



その他WORST10選考作品
『ソーシャル・ネットワーク』『僕が結婚を決めたワケ』『完全なる報復』『ランナウェイズ』『ガリバー旅行記』『エンジェル ウォーズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』『ミスター・ノーバディ』『スカイライン 征服』『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』『シンパシー・オブ・デリシャス』『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』『イースターラビットのキャンディ工場』『未来を生きる君たちへ』『スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション』『カウボーイ&エイリアン』『ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀』『スクリーム4』





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