BEST10 & WORST10 2011 Vol.1

◆2011年 BEST10


1. ブラック・スワン “Black Swan”
 監督:ダーレン・アロノフスキー
 出演:ナタリー・ポートマン、ミラ・クニス、ヴァンサン・カッセル、バーバラ・ハーシー

 白鳥とそれにそっくりな黒鳥が華麗なるせめぎ合いを見せる「白鳥の湖」になぞらえるようにドラマとホラーが擦り合わされる。ステージができあがっていく過程に転がる日常から別の表情を炙り出し、その末端を焦がすことにより恐怖を魅せていく。脆く美しい白鳥が激しく奇怪な黒鳥へと変態を遂げる。そこには確かに栄光と哀傷がある。今年最もロックな映画だ。


2. ゴーストライター “The Ghost Writer”
 監督:ロマン・ポランスキー
 出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、オリヴィア・ウィリアムス、キム・キャトラル

 「語る」ということについて観客が最も心地良く感じる速度を知り抜いたポランスキーが、今と昔を交錯させながら優雅に物語を織り上げる。気を衒ったところはなくても、好奇や執着という名の媚薬には決して逆らえない。まるで大きな帆で風を受けながら大海を航海する船のようだ。その海は荒れ狂っている。ゴーストの足音を聞きながら、ポランスキーはそれを喜んでいる。


3. 50/50 フィフティ・フィフティ “50/50”
 監督:ジョナサン・レヴィン
 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アンナ・ケンドリック

 賞賛されるべきは、難病を取り上げながら笑えるところではない。清々しく泣けるところこそ、素晴らしい。心の機微にそっと寄り添い、ホンモノのエモーションを刺激する。あぁ、人生とはこういうものだった。笑いと涙がいつも一緒にある。絶望に打ちのめされても、そこに僅かでも望みがあるのなら、それに賭ける。それだからこそ見えてくる未来が美しい。



4. トゥルー・グリット “True Grit”
 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
 出演:ジェフ・ブリッジス、ヘイリー・スタインフェルド、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン

 コーエン兄弟が過去の名作に思いを馳せつつ、西部の大地を自分たちの色に染め上げる。肌色の土の上に漂うほの暗い空気、唐突にして容赦のない暴力、かと思えばひょいっと顔を出すユーモア、あまりにも鋭利な音の数々、急所になると途端に存在感を増す音楽…。男たちと少女が馬を走らせるショットに宿るダイナミズムよ。そこでは銃弾さえも神聖に見える。


5. ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル “Mission: Impossible - Ghost Protocol”
 監督:ブラッド・バード
 出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、ポーラ・パットン、サイモン・ペッグ

 一作目の(96年)の愉快な力み、二作目(00年)の重量感、三作目(06年)の的確なスピードが効率的に盛り込まれ、イーサン・ハントが再び飛翔する。縦の空間が大いに意識されたアクションが興奮神経を激しく刺激、散りばめられた動物的ユーモアも画面を愉快に活気づかせる。鋭利なアイデアとそれに見合った演出、これこそハリウッドでなければ作れないものだ。


6. ミラノ、生きる “Io sono l'amore”
 監督:ルカ・グァダニーノ
 出演:ティルダ・スウィントン、フラヴィオ・パレンティ、エドアルド・ガブリエリーニ

 物語に目を見張るところはない。しかし、これ以上ないというくらいに手間がかけられた装飾が、ヒロインの激情を華麗に浮かび上がらせる。「調和」が意識される中、時に過剰に盛り立てられる画面に酔う。音楽に酔う。女に酔う。優れたメロドラマは面白い。心を豊かな香りで満たしていく。そうだ、メロドラマはこんなにも潤いに溢れたものだったと嬉しく思い出す。


7. アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事! “The Other Guys”
 監督:アダム・マッケイ
 出演:ウィル・フェレル、マーク・ウォルバーグ、エヴァ・メンデス、マイケル・キートン

 スター刑事の影に脇役刑事あり。パロディ要素満載ながらそれだけに終わらないのは、細部の観察が細かくしつこく念入りになされているから。ほとんど刑事オタク的な克明さで脇役たちの生態を炙り出す。正義とは何か、ヒーローとは何かという問題を内包した笑いが広がる快感。笑いの見せ方は凝っていても、男たちを笑い者にはしない。愉快な脱線特急に乗らない手はない。


8. ラブ・アゲイン “Crazy, Stupid, Love.”
 監督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
 出演:スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、エマ・ストーン

 人間関係を中心にご都合主義が幅を利かせる物語でも、登場人物に平等に注がれた愛情がそれを温かくカヴァーする。それぞれの想いが意外な彷徨を見せ、それが可笑しくて可笑しくて、そしてせつなくて。身体を張ったドタバタを見せながら、ちゃんと心のドタバタも忘れていないのが嬉しい。外見から変身を遂げていく主人公を愉快に眺めながら、愛の爆発に酔う。


9. アンストッパブル “Unstoppable”
 監督:トニー・スコット
 出演:デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン

 暴走する貨物列車を停車させようとするだけの話だが、それを装飾する映画の技がイチイチ効果的。直線では猛スピードとなり、カーヴでは遠心力により火花を散らす貨物列車の堂々たる主演男優ぶりよ。動き過ぎるカメラがモンスターの動きを大胆に捉え、畳み掛ける編集がモンスターの呼吸を逃がさない。ドラマは最小限かつ効率的。力技の決着もアメリカ的で大笑い。


10. モンスター上司 “Horrible Bosses
 監督:セス・ゴードン
 出演:ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス

 「絶対良い人」の安心感はあっても小物感漂う者たちが、横暴な大スターたちに振り回され、打ちのめされ、遂に立ち上がる様が大胆な力技を駆使して笑い飛ばされていく。ミスがミスを呼ぶ流れが頑丈で、男特有のバカらしさが愉快、さらに思いがけない伏線も顔を見せる脚本の妙。上司に扮した大スターたちが突き抜けることで、世界は完成される。


次点. 英国王のスピーチ “The King's Speech”
 監督:トム・フーパー
 出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター

 ジョージ6世の吃音克服の物語の軸にあるのはスピーチセラピストとの関係。いくらでも飾り立てられるだろうその絆を最小限に抑え、それどころか過剰な盛り上がりを敢えてハズしていくところがなんとも気持ちが良い。派生していくエピソードの数々(家族、王位継承、戦争等の問題)も切り上げ方に美学が感じられる。踏み込み過ぎない美しさよ。もちろん俳優陣の演技は最高級。


アニメーション映画. ファンタスティック Mr.FOX “Fantastic Mr. Fox”
 監督:ウェス・アンダーソン
 出演:ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン

 細部を緻密に掘り込み、それゆえ出てきた木屑を取りこぼすことなく掬い上げることを繰り返すことで、それがいつの間にか物語になる。アンダーソンの貴重な個性がストップモーション・アニメーションでも炸裂。アクセントとなった動物の生態。黄金色を基調にした色彩設定。美術や衣装、何より人形がドラマティックなうねりを上げる。ヴォイスキャストのハマり具合も秀逸。


未公開映画. オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式 “Hot Tub Time Machine”
 監督:スティーヴ・ピンク
 出演:ジョン・キューザック、ロブ・コードリー、クレイグ・ロビンソン

 これから3Pに突入しようとしている素っ裸男が言う。「無反応でもビンビン過ぎても失礼だ。半勃起ぐらいがちょうどいいんだ」。あぁ、なんとバカなんだろう。しかし、だ。あぁ。なんて憎めないバカなんだろう。無茶でも幼稚でも男たちに愛敬がある。ちゃらんぽらんで真実味がなくてさっぱりしていて、でも実は根っこの部分はちゃんと繋がっている奴らに乾杯!



その他のBEST10選考作品
『ザ・タウン』『ソウル・キッチン』『わたしを離さないで』『ザ・ファイター』『コリン LOVE OF THE DEAD』『お家をさがそう』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』『127時間』『SUPER 8/スーパーエイト』『マイティ・ソー』『モンスターズ 地球外生命体』『ソリタリー・マン』『ピラニア3D』『インシディアス』『ワイルド・スピード MEGA MAX』『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』『ウィンターズ・ボーン』『マネーボール』『家族の庭』『宇宙人ポール』『灼熱の魂』





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