ダーク・フェアリー

ダーク・フェアリー “Don't Be Afraid of the Dark”

監督:トロイ・ニクシー

出演:ベイリー・マディソン、ケイティ・ホームズ、ガイ・ピアース、
   ジャック・トンプソン、ギャリー・マクドナルド、ジュリア・ブレイク、
   ニコラス・ベル、アラン・デイル、テリー・ケンリック

評価:★★




 1973年のTV映画「地下室の魔物」のリメイクなのだという。不勉強なことにタイトルすら聞いたことがないし、ザッとあらすじを追っても心にフックするところはない。ただ、それでもどうしても気にかかるのは、プロデュースに正しくヴィジュアル派を道を歩むギレルモ・デル・トロの名前があるからだ。何でもオリジナルはデル・トロが子どもの頃に観て心底怖かったのだとか。そして未だにそれが頭にこびりついているのだとか。さらには絶対に再映画化したかったのだとか。執念のプロジェクト。だったら監督も担当してくれれば良いのに、しかしそこは大人の事情というやつがあるのだろう。

 ただ、出来上がった『ダーク・フェアリー』を観るとやっぱり、デル・トロが監督を手掛けなかった無念の方が大きくなる。所々にデル・トロテイストがちらついても、結局レプリカの印象が拭えない。

 最もデル・トロ色が色濃く出ているのは美術だ。偉大なアーティストが残した大邸宅が舞台になっていて、これがなかなかロマンティック。大きく取られた縦の空間。壁や家具のブラウンの光沢。最後まで念入りに凝ったインテリア。なぜか日本の匂い溢れる庭園には池で鯉が泳いでいる。光の捉え方も柔らかく、幻想的だ。

 ただ、愉快なのはここまでだ。後はどこかで観たようなありふれた画面が続くばかり。ヴィジュアルは確かにデル・トロ色が強くても、映画を形作るその他の要素は不発に終わっている。昔から家に棲みついていたのだろう魔物が、好物である子どもの歯を狙って奇怪な行動を始めるというのが物語の始まり。大人たちは魔物に気づかない。気づいてもなす術がない。子どもだけが恐怖に慄き、それに立ち向かおうとする。実に普通の展開。

 魔物の見せ方に拍子抜けする。トロールとゴラムを足したようなちっこい小動物が、チョコマカチョコマカ。二番煎じ風のデザインもさることながら、攻撃方法が人海戦術以上のものが見当たらないのに落胆する。後半、ヤツらの姿がはっきり見えるようになればなるほど、恐怖から遠のいていくのはもちろん、想像力を放棄しているからだ。視覚効果の乱用。

 尤も、前半部には結構ビクッとするところがある。姿を見せないで恐怖を煽る正統派の演出が効いているのと、もうひとつは少女を演じるベイリー・マディソンの力が大。子役の演技についてヘタクソでも巧くてもアレコレ言うのは嫌いなのだけど、マディソンはそういう次元にはいない。ケイティ・ホームズやガイ・ピアースよりも達者に表情を変化させるのに驚愕。ニュアンス豊かに、直感的に、少女の好奇と恐怖を浮かび上がらせていく。ちょいブスめなのも良い。

 撮影時は10歳ぐらいだろうか。その表現力が魅せる恐怖も怖いけれど、それよりもこの歳ですっかり「女優」なのがもっと怖いというオチ。物語のオチには呆れても、このオチには感心するしかないのだった。





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