ロンドン・ブルバード LAST BODYGUARD

ロンドン・ブルバード LAST BODYGUARD “London Boulevard”

監督:ウィリアム・モナハン

出演:コリン・ファレル、キーラ・ナイトレイ、デヴィッド・シューリス、
   アンナ・フリエル、ベン・チャップリン、レイ・ウィンストン、
   エディ・マーサン、サンジーヴ・バスカー、スティーヴン・グラハム、
   オフィリア・ラヴィボンド、ジェイミー・キャンベル・ムーア

評価:★★




 なんだかガレッジセールのゴリにしか見えないコリン・ファレルがずっと困っている。出所したばかりなのに早速悪事に誘われて困っている。突然女優のボディガードを務めることになり困っている。知り合いのホームレスの生活が心配で困っている。酒好きでドラッグ中毒の妹のことが気掛かりで困っている。裏社会のボスに変に気に入られて困っている。観る側はと言うと、「こんなに眉毛が下がってたっけ?」とファレルのあの眉毛について考え込むハメになる。『ロンドン・ブルバード LAST BODYGUARD』は延々困り続けるファレルを映し出すだけで終わってしまった。

 ウィリアム・モナハンは多分、60年代のブリティッシュ・ノワールの再現を狙ったのだろう。大きな書体が画面一杯に広がるタイトルクレジットから、それがあからさまだ。当時のご機嫌なロックミュージック。今の時代にも通用するスタイリッシュな車。カジュアルとフォーマルの間を行き来するファッション。作り手がこの場面にはこの音楽を、あの場面にはこのスーツで…なんてアレコレ考えをめぐらせている画が容易に思い浮かぶ。果たして画面には60年代のアイテムが溢れることになる。

 だけれどしかし、好きだからと手当たり次第に詰め込むだけでは、単なるコピー、単なるニセモノ、単なるごった煮に終わるということをもっと考えるべきだった。確かに60年代風に画面は装飾されているものの、ほとんど空虚なるスタイルの羅列と言うに相応しい虚しさもまた、まとっているからだ。物語の舞台は60年代ではない。今現在だ。そこに60年代を持ち込むのであれば、今の時代のブリティッシュ・ノワールに昇華させなければならない。そのためには新たなるスタイルを投入しなければならない。モナハンはそれを怠っている。ファレルがゴリに見えても仕方がない。

 夜の切り取り方が、日本映画みたいなのには苦笑いしてしまう。石原裕次郎あたりがロンドンの街に、ひょっこり顔を見せそうな雰囲気があるのだ。ある意味、見もの。背景にはネオンの光が必ず蛍のように光っていて、風はどう考えても生温い。当然ロックが流れるのだけれど、それよりも「夜霧よ今夜も有難う」の方が似合いそう。光の見せ方にズレがあるのだろうか。不思議だ。

 話が全然進まない。刑務所帰りのファレルの、非現実的な日常の紹介に終始している。人間関係、家族問題、性格描写等の紹介に割かれ、しかし物語は進展しない。キーラ・ナイトレイ扮する女優との関係もじれったいことこの上なく、煮え切らないままに突如関係を深めるのが笑いを誘う。ケヴィン・コスナーも驚いているだろう。ファレルとナイトレイのケミストリーが完全なる不発に終わっているのも無念だ。

 唯一の見ものはギャングを演じるレイ・ウィンストンだ。タイプキャストとは言え、内に秘めた狂気を炙り出すのが抜群に巧い。ユーモアもある。静から動へと切り替わる瞬間は、画面に電流が走る。凄まじい爆発力だ。いっそ物語を乗っ取ってしまうくらいに暴れても良かったのに。カッコ良く決めたつもりのファレルが自己陶酔に入るエンディングなんて、要らないから。





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