永遠の僕たち

永遠の僕たち “Restless”

監督:ガス・ヴァン・サント

出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、
   シュイラー・フィスク、ジェーン・アダムス、ルシア・ストラス、チン・ハン

評価:★★




 言うまでもなく、ガス・ヴァン・サントは美しい若手俳優を好んで起用する。リヴァー・フェニックスやマット・ディロン、キアヌ・リーヴスにユマ・サーマン…その美しさをフィルムに焼きつける。『永遠の僕たち』で彼が目をつけたのがヘンリー・ホッパーだ。あのデニス・ホッパーの息子というのに驚く。美しいのだ。いや、そう言えば親父も若い頃は美しかった。息子には晩年の親父のアクの強さというものはまだない。まっさらな状態で差し出される。

 いつも寝癖のついているようなくしゃくしゃのブロンド。目鼻立ちのはっきりした造形。細い指。脂肪とは無縁の身体。60年代風ファッション。まだ大人にはなっていない未成熟の魅力がホッパーのスタイルに封じ込められている。その透明感そのものに感動してしまう。胸を打たれてしまう。

 透明感ではミア・ワシコウスカも負けていない。ヴェリーショートで顔を見せるワシコウスカの横顔の美しさといったら、どうだ。小さなピアスが可愛らしく、出てくる言葉は詩を読んでいるかのようにリズミカル。カジュアルな着こなしには遊び心が溢れる。ホッパーとの組み合わせもパーフェクトだ。ワシコウスカが出てくる度に画面に風が吹く。

 ホッパーとワシコウスカが唇を重ねるショットが何度も出てくる。何と言うか、生まれたばかりの子犬と子猫がじゃれ合っているみたいだ。混じり気のない魂と魂が本能的に相手を求めているような…。ただ、それだけが尊く思える。

 サントの全力はふたりを魅力的に見せることに捧げられている。彼らの役柄のバックグラウンドは風景にしかなっていない。両親を事故で亡くし、日本兵の霊と会話する少年。難病にかかり、死期が迫っている少女。葬式で出会ったふたりが惹かれ合う様が描かれる。特殊な状況下に見えるものの、案外普通に距離を縮めていくふたりに拍子抜けする。

 もっと言うなら、ここでは「死」がファッショナブルに映し出される。死にまとわりつくダークなイメージ、深刻なイメージは浮かび上がらない。少年と少女は死を衣服のようにまとい、シチュエーションこそ不可思議さに包まれているけれど、そこに人生や死生観を抉るような厳しい眼差しは見当たらない。死を真ん中に置いたごっこ遊びに興じている風に見受けられる場面すらある。

 これは最近鳴りを潜めていたサントの悪癖ではないか。美しい人を使い、意味ありげに物語を語りながら、実は空虚さに支配されているだけに過ぎない空間。「ドラッグストア・カウボーイ」(89年)「マイ・プライベート・アイダホ」(91年)を思い出す。まるで死のイメージフィルム。目には焼きついても手応えに乏しい。大胆な解釈を誘うほどに奥は深くない。題材の表面を撫でるだけの語りに意味を見つける必要はない。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ