宇宙人ポール

宇宙人ポール “Paul”

監督:グレッグ・モットーラ

出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、
   クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ブライス・ダナー、
   ジョン・キャロル・リンチ、シガーニー・ウィーヴァー、
   ミア・ストールラード、ジェフリー・タンバー、デヴィッド・ハウス、
   ジェーン・リンチ、デヴィッド・ケックナー、ジェシー・プレモンス

声の出演:セス・ローゲン、スティーヴン・スピルバーグ

評価:★★★




 なんだ、結局のところ、、皆スピルバーグが好きなんだ。70年代から80年代にかけてのスティーヴン・スピルバーグが映画界にもたらした影響は非常に大きい。「スピルバーグなんか興味ない。俺はマーティン・スコセッシやブライアン・デ・パルマが好きなのさ」とスカしているヤツらでも、やっぱりスピルバーグの影響からは逃れられない。だってそこにはアクションとサスペンスがある。笑いと涙がある。それって映画の命じゃないか。

 「SUPER 8/スーパーエイト」(11年)がスピルバーグ愛丸出しの正統派SFだったのに対し、『宇宙人ポール』は捻りの効かせられた変化球SFだ。そしてその変化球を投げる者こそ、ポールとなる。ポールは宇宙人で、これが実に愛すべき捻くれ者に仕立て上げられている。

 見た目に大きな工夫はない。ゴラムとE.T.の合いの子のような、我々が普段からよく見ているあの宇宙人の容姿。それもそのはず、地球における宇宙人カルチャーは、全て彼から始まったという設定だ。ポールは口が悪い。ポールは下品を極める。ポールは下ネタを愛している。でも、ポールは気の良いヤツでもある。身勝手なようで情に厚く、ワガママなようでハートを信じている。あぐらを掻いてハッパを吸う宇宙人なんて初めて見た。このポールの声をセス・ローゲンが当てている。巧いキャスティングだ。

 ポールの暴走を追えば、そこには常に娯楽が潜んでいる。一見単純な見せ方だけれど、味わいは案外複雑だ。いくつかの衝突が散りばめられているからだ。いちばんのそれはアメリカとイギリスの衝突だろう。宇宙に帰ることを願う宇宙人を地球人が助ける。いかにもアメリカ的な題材を、イギリス風の味つけで見せていく。イギリス人男ふたりをエリア51に送り込む。アメリカ女とイギリス男の間にロマンスが芽生える。衝突が衝突を呼び、それが今度は笑いを呼び、スリルを呼び、涙を呼ぶ。

 このSFにグレッグ・モットーラを衝突させた意味も大きいものだ。モットーラは「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(07年)「アドベンチャーランドへようこそ」(09年)といったギーク映画で魅せてきた人で、その味をこの映画にもしっかり持ち込んでいる。コミックコンヴェンション目的でアメリカにやってきたイギリス人オタク二人組。ほとんど女に縁のないままに生きてきただろうことが容易に想像できる。口は達者でも気は弱く、大抵いつも損な役に回されるタイプ。その彼らがポールと出会うことで、ある種のヒーローとなる。俺たちにもできる。ポールを守ることができる。主役は俺たちだ。情けなくても奮闘するあたりには「ギャラクシー・クエスト」(99年)を連想したりして…。ボンクラたちに乾杯したくなる。

 サイモン・ペッグとニック・フロストが主演なのにエドガー・ライトの名前は見えない。したがって全体的にとっつきやすくなっている。クセのある笑いを好む人には物足りないかもしれないものの、間口は広くなっていると思う。笑いの底に敷かれているのは友愛の精神だ。そしてそれこそがスピルバーグが信じ続けているものと言える。パロディに終わることなくぶっ飛んで、スピルバーグ愛を語る。ひょっとしてすごくクールな映画じゃないかという気がしている。





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