シティ・オブ・ドッグス

シティ・オブ・ドッグス “A Guide to Recognizing Your Saints”

監督:ディト・モンティエル

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、シャイア・ラブーフ、
   チャズ・パルミンテリ、ダイアン・ウィースト、
   チャニング・テイタム、ロザリオ・ドーソン、
   メロニー・ディアス、マーティン・コムストン

評価:★★




 『シティ・オブ・ドッグス』は1980年代のニューヨーク、クイーンズ地区を舞台にした青春ドラマだ。スラム街で移民の子として育った少年が主人公。成長した彼が父親が倒れたことをきっかけにロサンゼルスから帰郷、当時のことを思い出しながら物語が語られる。主人公は二人一役で、少年時代をシャイア・ラブーフ、大人になってからはロバート・ダウニー・ジュニアが演じる。似てねー。全く似てねー。顔の連続性の一切を無視したキャスティングに突っ込みを入れずにはいられないけれど、まあ、いいか。より重要なのは内容だ。

 こういう青春物の場合、主人公は非行少年とは言わないまでも、ちょっと悪ぶっているのが常だ。スラム街が舞台だから、そうなっても不思議ではない。ところが、ラブーフは「良い子」だ。仲間たちとバカなこともするけれど、基本は常識を持った少年で、両親との関係も悪くないように見える。これではドラマが起こりそうにない。すると、ラブーフの兄貴分的存在のチャニング・テイタムが代わりに暴れるではないか。父親から暴力を受けている彼は、それを自分の中だけでは消化することができず、トラブルを引き起こしていく。困ったヤツだけど、映画としてはそう来なくては!

 テイタムやラブーフと対立するラテン系グループが登場する。グループ間でいがみ合いが始まり、いつしかそれが命を危険に晒すものとなる。ふと思い出すのは「アウトサイダー」(83年)だ。大人ぶってもまだまだ未熟な少年たちが抗争を巻き起こす。…と、そうか、テイタムの役柄は、「アウトサイダー」のときのマット・ディロンなのかもしれない。主人公よりも青春に愛される存在。鋭いのに、どこか脆そうで、青春を体現するような存在。

 青春の愚かさ・残酷さが積み重ねられていく。抗争の発端が「落書き」というのがバカバカしい。でもたったそれだけが、このときは重要なのだろう。女の子と仲良くなりたくて、ケンカに明け暮れて、将来に不安もあって…問題は山積。それを探っていくと、未熟さゆえのものばかりで、あぁ、そう言えばこれが青春だったと思い出す。ただ、ここでのラブーフが、ほとんど傍観者的立場で満足しているのが不満だ。テイタム周辺のドラマの方がドラマティック。

 …と思ったら、いくつかのエピソードを経て、ようやくラブーフの葛藤がせり上がってくる。まず、テイタムに対する憧れと畏れが浮上し、続いて良好な関係にしか思えなかった父親との間に横たわる問題が見えてくる。そうか、彼もまた悩みを抱えていたのかと感じ入るのと同時に、その唐突さに面食らう。周到に伏線が張り巡らされていたとも思えず、ドラマ性は薄っぺらだ。

 決して入念に創り込まれた話ではない。ダウニーを引っ張り出して、登場人物たちを再会させる必要性は感じられないし、懐かしい気配というのも乏しい気がした。ただ、それでもいくつか心に残る場面はある。ラブーフが意中の女の子の住む家の二階の窓にかけ上がって話すところは、「ロミオとジュリエット」を思わせる。ラブーフがテイタムとケンカ別れした直後、対立グループにボコボコにされたときに真っ先にテイタムが駆けつける場面には、ついホロリ。少年から大人に変わろうとしているときの、まだ微かに残っている純真を見た気がした。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ